登山をするときに3つしか持っていけなかったら? ~本は「戦略」「戦術」「戦法」で作る
もしも、登山をするときに3つのものしか持っていけないとしたら、あなた
は何を持って行きますか?
これは、私が出版セミナーでよく出題するクイズです。
じつは、このクイズが出版の「戦略」練るためにとても適しています。
受講生が100人いたら100人とも違う回答をするのがとてもおもしろいですね。
たとえば、「おやつ、傘、携帯電話」と答えたサロン経営者がいました。
このサロン経営者にとって、登山はピクニックのようなもので、ずいぶん低い山を
イメージしているようです。こんな方は、高い山に登ると遭難します。
「おにぎり、登山服、テント」と言った会社役員もいます。
しかし、残念ながら、この方も遭難します。
- 1. まず、「食糧」(水を含む)を用意していない人は、論外です。
- 2. 次が、「装備品」です。サンダルとか、ハイヒールとか、スカートではダメです。
- 登山靴、防寒具、寝袋、ガスコンロ、テントなどが「装備品」に入ります。
- 3. そして一番重要なのが「地図」です。
- 地図がないと道に迷います。山で道に迷ったら確実に遭難します。
登山と同じように、本を書くときにも「地図」が必要です。地図とは、
「本を書く目的」(What)
「本を書く動機」(Why)
「夢をかなえる方法」(How)のことです。
この「地図」を作ることよっても、あなたは、今、自分がどこにいて、どこに向か
っているかがわかります。地図を手に入れてから本の執筆に取りかかってください。
(図表: https://tensaikojo.com/data/hondashi/P127.pdf )
出版を「戦略」と考え、次の3つを徹底的に書き出してください。
あなたが本を書くことによって達成したい夢は何か?(戦略)
夢を達成するために出版も含めてどんな方法があるか?(戦術)
夢を達成するためにあなたが書くべき本のテーマは何か?(戦法)
「戦略」というと、とても難しいと思う方がよくいますが、じつはとても簡単なこと
です。それは、あなたの「夢」であり、「人生をかけて達成したいこと」です。
戦国武将の織田信長を例にとって説明しましょう。
- ●戦略→日本を武力で統一したい。(「天下布部」を宣言)
- ●戦術→実力主義で家来を起用した。(豊臣秀吉、明智光秀など)
- ●戦法→情報戦、奇襲攻撃。(桶狭間の戦いで勝利)
1560年、織田信長は人生最大の危機に陥ります。
圧倒的な数で勝る今川義元に攻められ、降伏か戦闘かの二者択一を迫られます。
敵兵2万5000人に対し、味方は2000人です。
しかし、確固たる戦略のある信長にとって、「降伏」という選択はありえません。
そこで、彼は情報を集め、悪天候を利用し、ゲリラ戦によって今川義元の首を取り
ます。有名な「桶狭間の戦い」ですが、この戦で一番恩賞を与えたのは、敵将の首を
取った武将ではなく、今川義元の陣地を教えてくれた部下です。
織田信長は、唯一、情報の価値がわかっていたため戦国の覇者になれたのです。
多くの人たちは、自分が何をしたいのか、何のために生きているのか、自分の人生
と向き合っていません。私たちは外側の人間関係に生きていて、内側の自分との対話
をしたことがないのです。
本を書くとき、初めて自分自身と向き合うのです。
これはけっして大げさなことではなく、私は、戦略的に生きている人は1000人
にひとりもいないと思っています。
本を書く過程が、あなたにとって一番大事なことを教えてくれるでしょう。