書きたい本、書ける本が見つかる5つの輪 ~本を書くテーマの見つけ方
「戦略」とは、あなたの夢です。
「戦術」とは、夢を達成する方法です。出版はそのひとつです。
そして、「戦法」とは、本のテーマのことです。
ほとんどの作家が自分の「専門分野」に焦点を当てて本を書いていますが、それは
あなたが持っているテーマのほんのひとつにすぎません。
テーマをより簡単に見つけ出す方法があります。
それは、あなた自身の人生を振り返り、客観的に分析することです。
私たちは、過去、現在、未来と、3つの異なる軸を持っています。
それを分解したのが「書きたい本、書ける本が見つかる5つの輪」です。
過去の輪は、「お金」と「時間」です。
現在の輪は、「専門性」と「ネットワーク」です。
未来の輪は、「ライフワーク」です。
では、5つの輪からどうやって本のテーマを探したらいいのでしょうか?
【お金】……私たちはものを買ったり、サービスを受けたりするとき、そこにお金以
上の価値を見出しているわけです。お金の輪が出版につながった例としては、サッカ
ー選手のフィギュアを買い続けた人が、その写真集を出版して売れたことがあります。
【時間】……時間をかけることも価値の変換です。私たちは人生で一番貴重な時間よ
りも価値があると思って何かに熱中しているわけです。ですから、映画評論家は映画
の本が出せるし、料理研究家は料理の本を出すことができます。
【専門性】……職業の他に特技や趣味があります。免許、免状、資格、認定なども含
まれます。先祖代々の職業も、生まれ育った土地も専門性の輪に入ります。
私が出版をお手伝いした本に『南の島で、暮らそうか!』(バンガートめぐみ 角
川書店)があります。「沖縄の離島生まれ」というだけでも本のテーマになるのです。
【ネットワーク】……ネットワークは、「情報」と「人脈」にわかれます。
あなたはどんな情報を受信しているか、発信しているか?
どんな人たちとつきあっているのか? それが本を書くテーマとなります。
【ライフワーク】……あなたが「一生続けていくこと」です。また、「これをやり残
したら死ねないこと」です。その思いが魂のこもった本を作ります。
なぜ、5つの輪を書き出すだけで本のテーマがわかるのでしょうか?
それは、あなた自身の「こだわり」と「価値観」が客観視できるからです。
5つの輪からどうやって本を作っていくのか、具体例で説明しましょう。
航空機リース会社の社長さんの本を作ったことがありました。
この社長さんは商社マン時代、中東のインフラの設置を任されていたのですが、休
日には砂漠の村々を回ってオイルランプを収集していました。
古代のランプは「ローマンランプ」と言われ、紀元前のものもたくさんありました。
その社長さんは、500個くらいのランプを集めていて、大英博物館に次いで、世
界一の個人収集家なのです。そこで、私が本につけたタイトルは、
『魔法のランプの磨き方』(中山智夫 幻冬舎)です。
本のテーマは、「ランプ磨き」です。つまり、「ひとつのことを一生懸命やり続ける
と夢はかなう」という人生の真実を『アラジンと魔法のランプ』の昔話にたとえて本
のタイトルにしたのです。
これが5つの輪の中心、「コアコンピタンス」と呼ばれる核を見つける方法です。
5つの輪は、あなたの人生の「パノラママップ」であり、
あなたの中に眠っている才能を発掘する「宝の地図」なのです。
(図表: https://tensaikojo.com/data/hondashi/P133.pdf )
5つの輪を完成するために、次の質問に答えてください。
答えはできる限り数多く書き出してください。
Q1,あなたは、過去にどんなことにお金を使ってきましたか?
Q2,あなたは、過去にどんなことに時間を使ってきましたか?
Q3,あなたは、今、どんな仕事をしていますか?
Q4,あなたは、今、どんな情報を受信、発信していますか?
Q5,あなたは、人生をかけて、何をやりたいのですか?