編集者とのつきあい方 ~常識のない作家が多い
世界150ヶ国で何十億人もの人々に読み継がれている『星の王子さま』という童
話があります。この本は、サン・テグジュペリの落書きから生まれました。
彼はニューヨークのレストランで、ペーパーナプキンに男の子の絵を描いていまし
た。それをたまたま、カーチス・ピッチコックという出版社の編集者が見ていまし
た。
「この男の子を主人公にして、うちで本を書いてもらえないだろうか?」
これがきっかけで世界的に有名な『星の王子さま』が誕生したのです。
いい編集者との出会いは、高額な宝くじが当たったくらいラッキーなことです。
お見合いをするとき、女性側の評価基準として「お見合いの3高」があります。
相手の男性の「高学歴」「高年収」「高身長」のことです。
同じように、「出版社の3高」もあります。
「知名度」「発行部数」「印税率」のことです。
しかし、「出版社の3高」ではなく、「編集者3高」で本を書いてください。
「編集者3高」とは、編集者の「熱意」「理解」「販促」です。
編集者が心からあなたの作品を愛しているかどうかが重要です。
「どの出版社と仕事をするか?」ではなく、
「どの編集者と仕事をするか?」なのです。
「編集者とはどのようにつきあったらよいですか?」
これは、初めて本を出す人にとって重要な問題でしょう。編集者はあなたの本を出
してくれる恩人です。大切におつきあいしなくてはなりません。
私は、「礼儀を忘れず、常識的なつきあい方をすれば問題はありませんよ」
とアドバイスするのですが、非常識な作家も結構見かけられます。
1、出版パーティーでいきなり企画書を手渡す。
「私の企画書を見てください攻撃」に、8割の編集者が迷惑しています。
名刺交換をした後日、「企画書を見ていただけますか?」と連絡しましょう。
2、企画書を見てもらってもお礼状を出さない。
忙しい編集者は、限られた時間の中であなたの企画書を見てくれているのです。
その編集者に対しては、やはり、感謝の言葉しかありません。
お礼状を送るのは、企画書が採用されても、不採用でも同じです。
3、食事をおごってもらってもお礼を言わない。
編集者はよく喫茶店やレストランであなたの企画書にアドバイスをしてくれます。
直接会ってくれるということは、「採用してもよい」という可能性を持っているか
らです。食事代が会社の経費でも、編集者のポケットマネーでも、必ず、お礼の一
言を。
4、作家が編集者の意見を聞かない。
出版トラブルの約8割がコレです。作家の書きたい本と、編集者の作りたい本が
制作途中で噛み合わなくなることがあります。
おたがいに歩みより、内容の修正をしなくてはならないのですが、絶対に書き直
さない方がいます。作家のプライドが異常に高く、ある種の信念を持っている場合、
編集者と衝突して、出版が中止になることがよくあります。
こういう場合の基本姿勢は、「共にいい本を作りましょう」です。
編集者も作家も、「いい本を作りたい」ということでは利害関係は一致しています。
おたがいが納得する本を作るためには、編集者とのバトルも必要です。
このバトルを繰り返して出版された本は、間違いなくレベルアップされます。
いい編集者と出会いたいのならば、あなたの夢を熱く語ってください。
「こんな本を出したい」という明確なビジョンがあり、それを何年も語っていると、
その熱い思いを受け止めてくれる編集者が必ず現れるから不思議です。