「いい本」とは何か? ~「いい本」は百人百様

初めて本を書く人に、私が最初に伝えたいことで、最も重要なことは、「いい本を書

きましょう」ということです。
企画書の書き方や文章テクニックではありません。
あなたが書く本でどれだけ多くの人が幸せになるかが大事です。

 

では、一体、「いい本」とはどんな本のことでしょうか?

 

何度か出版講演会を一緒にやっていただきましたが、サンマーク出版の社長、植木宣隆

さんは、「本はすべての生きものを生かす太陽の熱エネルギーを想念のエネルギーに

変えたもの」と教えてくれました。
サンマーク出版の名前の由来はそこから来ています。

 

確かに「いい本」は、文章から炎が噴き出ています。
炎とはエネルギーのことです。そのエネルギーを吸収することによって、読者には大き

な変化が起こり、転機が訪れます。
逆に「よくない本」のイメージですが、文章にふっと息を吹きかけると、「ほこりのよ

うに文字が舞い上がるような本」のことです。私はあまりにも中身が薄いと、「この本

には活字が貼りついてないな」と思ってしまいます。

 

この本を書く前に私は、編集者30人、ビジネス作家40人、本好きの友人30人、約100

人の方に「いい本」の定義を聞いてみました。
すると、答えは百人百様だったのです。100人それぞれが他の人に薦めたいという本

があるのですが、しかし、だれも「いい本」を定義づけられなかったのです。
「いい本」とは何か? たとえば、こんな回答を得られました。

 

知的好奇心を満たしてくれる本。 大きな感動を与えてくれる本。
人生を切り開く本。       勇気を与えてくれる本。
何度も読み返したくなる本。   読むたびに新しい発見がある本。
人にプレゼントしたくなる本。  人に紹介したくなる本。
読むと元気になる本。      病院のお見舞いに持っていける本。
両親に自信を持って見せられる本。何年経っても古びない内容の本。
その作家でなければ書けない本。 オリジナリティのある本。
エンターテインメントの本。   とにかく笑わせてくれる、泣かせてくれる本。
空想をかき立てる本。      ハラハラドキドキする本。
問題解決のヒントが書いてある本。答えを教えてくれる本。
悩みを解決してくれる本。    真実が書かれている本。
読みやすい本。         夢中になって一気に読める本。
親子3代で読める本。      教科書に載るような本。
ベストセラーになった本。    ロングセラーになった本。
翻訳される本。         世界中に影響を与える本。
常に手元に置いておきたい本。  信頼できる情報が満載されている本。
新しい価値観を教えてくれる本。 知識を知能に変え、知能を知恵に変える本。
理想の恋人のようなもの。    だれかを幸せにする本。

 

なぜ、「いい本」の定義が人によってすべて違うのでしょうか?

 

それは、本を読む人の目的がそれぞれ違うからです。
だから、「いい本」の定義もそれぞれ違うのです。

 

あなたが思う「いい本」とは何ですか? 答えは出ましたか?
テレビと本を比較した場合、そこに答えがあるかもしれません。
一方的に伝達される映像と違い、本の最大の長所は自分のペースで読み進めることが

できて、作品世界が無限に広がるということです。

 

また、どんな情報媒体より、「最も情報価値が高い」のは間違いなく本です。


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