ぞうりむしが「行動しないと本が書けないよ」と教えてくれた ~情報は取りに行かなければ得られない

 私は本には、「生きている本」と「死んでいる本」があると思います

 生きている本には今まで聞いたこともないような情報が満載されています。

 逆に、死んでいる本は、どこかで聞いたような情報ばかりです。

 本は情報によってできています。情報は行動しなければ得られません。

 これは、高校の生物の実験でぞうりむしが私に教えてくれました。

 

 ぞうりむしはアメーバーがほんのちょっと進化した単細胞動物の原点です。

 その運動を観察すると、行動することによって情報を得ていることがわかります。

 彼らは手足がないので、べんもうを動かすことによって移動します。

 移動することによって、エサがあるかないかを確かめているのです。

 行動することが情報を得るための基本です。

 自ら行動することによって情報を受信するということは、生命現象の基本です。

 アメーバーは自ら動くことによってそれを達成しているわかりやすいモデルです。

 

 私が面会を希望して一度だけお酒を飲んだことがあるのですが、芸能プロデューサ

ーの秋元康さんは、年間1000人以上の人たちと会っています。その人たちとの接

触の中から、映画の原作を考えたり、本を書いたり、テレビでコメントをしています。

 また、「1年に一度は、自分が嫌いな人と会うようにしている」とのことです。

 嫌いな人は自分そっくりなので、その人を見て慢心しないようにしているそうです。

 

 私は、有益な一次情報を得る方法は「人との接触以外にない」と思っています。 

 すべてネットで情報を得ようと思っている人は大きな間違いであり、今すぐ

その考えを改めたほうがいいでしょう。

 人は情報の塊です。情報を発信するのは生命体以外にありません。

 この場合の情報とは「相互に影響を与えるエネルギー」のことです。

 ネット上には無数のデータが散乱していますが、エネルギーの交換はできません。

 

 1冊の本はエネルギーの塊です。

 だから、多くの人に感動や影響を与えることができるのです。

 

 行動しない限りエネルギーは手に入りません。

 ネタを発信している人と出会わなければいい作品は書けないのです。

 

 ここで、情報価値の高さについても説明しましょう。

「向こうからやってくる人より、自ら動いて会った人のほうが情報価値は高い」

 これが、「情報価値の絶対ルール」です。

 人と人とが目的を持って会う場合、その2人は「お土産を持っている人」と「お土

産をもらいたい人」にわかれます。

 こちらから会いに行くときは、「お土産」をもらいに行くわけです。

 あなたのほうから行かない限り、相手は何もお土産を与えてくれません。

 逆に考えると、向こうからやって来る人は「お土産」は持って来ません。

 お土産がほしいからやってくるのです。

 

 何も用がない人は、あなたに電話をかけてきません。

 また、あなたも何も用のない人に電話はかけません。おたがいにお土産をあげたり、
もらったりする関係だから電話をかけたり会いに行くのです。

 

 ときどき、「私は人と会うとき、何もお土産をもらわないし、渡さないよ」

 という人がいますが、とんでもない! 最大のおみやげは「時間」です。

「人に会う」といことは、おたがいの貴重な時間を費やしているのです。

 これは、大金を支払うことと同じです。「人に会う」という行為は、自分の

人生の最も貴重な財産の一部を提供しているのです。

 私たちは、たぶん、ぞうりむしより進化しています。

 人と会うときには、有益な情報をおたがいに交換したいものです。


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