「いい本」を書くためには「授業料」を払わなくてはならない ~エッセイストは1万円稼ぐために100万円使う

「私、エッセイでも書きたいんです」
と、作家を目指す方の多くがエッセイを書きたいと言います。
特に、女性が軽いノリでそう言います。

 

私は、(あらあら、またですか)と心の中で思ってしまいます。
じつは、エッセイは、とても難しいジャンルなのです。
「エッセイでも書きたい」というのは、エッセイに対して失礼です。

そこで私は、「エッセイは、高い『授業料』を払った人でないと書けないんです
よ」と説明します。

 

すると、「『授業料』って、何ですか?」と、また質問が返ってきます。
「授業料」とは、その名のとおり、いかにお金を使っているかどうかです。

もちろんほとんどの場合、お金と一緒に時間も使っています。
「エッセイというのは、コラム1本1万円の原稿料を稼ぐために、100万円の

授業料を払うということなんです。あなたは、授業料を払っていますか?」

 

授業料を払わない人は、いいエッセイは書けません。

 

人を感動させる文章を書くには、膨大な量のインプットが必要です。
そのインプットには、多額のお金がかかります。エッセイは、膨大な量のインプッ
トから生まれるたったひとつのアウトプットに過ぎないのです。

 

「膨大な量のインプット」に必要なお金が、つまり「授業料」です。

 

現在、エッセイストとして活躍している作家は、間違いなくその授業料を支払っ
ています。

 

私が企画書の売り込みに協力した方で、とまこちゃんという女性がいます。
彼女は、飛行機の窓から空の写真を撮ることが趣味でした。

もともと旅行会社の添乗員で世界中を飛び回っていましたが、個人でも何度も飛
行機に乗っていました。彼女は通路側の席でも、窓側の席に座っている乗客とわ
ざわざ席を代わってもらって写真を撮っていました。

 

そして彼女は、念願の空の写真とエッセイを組み合わせた本を出したのです。
『旅ふぇち とまこの秘境まる歩き絶景エッセイ!』(とまこ ゴマブックス)
 1冊の本を出すためにどれだけお金と時間がかかっているか計り知れません。

 

ちょっと変わった職業で、『ナンパ塾』の塾長をしている草加大介さんがいます。
今まで、1万5000人のモテない男にナンパの方法を教えているのですが、彼
の本もプロデュースさせてもらいました。

 

草加さんは、自分が今まで何万人もの女性に街で声をかけ、ことごとく撃沈して
いるのですが、そうした実体験から、自分なりに「ナンパ論」を編み出しました。

ナンパだからといって侮ってはいけません。

 

たくさんの「お金」と長い「時間」を投資したからこそ手に入る技術もあるので

す。草加さんは「ナンパの極意」を手に入れるために、私たちの想像以上の授業

料を払っています。

だから、「ナンパ」という行為が、芸術の域にまで達しているのです。

 

あなたが「身銭を切って」投資し、自分の体で体験したことは本になります。

 

草加さんの本『最初の一言をどうかけるか?』(幻冬舎)は、単行本、文庫本合
わせて6万部くらい売れました。

 

「私、エッセイでも書いて暮らして生きたいの」とおっしゃる方へ。
まずは外に出て、授業料を払って、たくさんの経験を積んでこい、と言いたいで
す。


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