出版プロデューサーとは
なぜ、「電子書籍」ではなく、「紙の書籍」を出版するほうがいいのか?
「本を出しました。ぜひ、購入してください」
というメールを友人や知人から受け取ったことはありませんか?
メール文をよく見ると、書店で販売している本ではなく、インターネットでしか買えない「電子書籍」だったりします。
しかも、ページ数は、たったの30ページ。
電子書籍は時間もお金もかからず、だれでも出版することができます。
では、紙の本を出すより、電子出版したほうがよいのでしょうか?
そんなことはありません。
「出版社を通して紙の本を出す」
ことには、とても大きな価値があるのです。
その最大の理由は、
「本は情報価値の最高位に位置する」
ということです。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、講演会など、マスコミ媒体には様々な種類がありますが、その中で情報が一番集約されているものは何でしょうか?
ズバリ、それが、本なのです。
書籍は、1冊の本として出版されるまで、1年も2年も長い時間がかかります。
また、出版されてからは、5年10年と長い時間をかけて書店という市場で売られます。
そのため、ひとつのテーマに対してたくさんの緻密な情報が集約されています。
本の情報価値に勝てる媒体は、存在しません。
電子書籍と印刷された書籍の情報価値を比べてみてください。
紙の本の情報価値の高さ、影響力の高さ、信用力の高さに驚くことでしょう。
紙の本と電子書籍、それぞれどれぐらい売れているか?
時代の最先端というイメージの電子書籍ですが、では、従来からの紙の書籍と比べて、どれぐらい売れているのしょうか?
2017年 販売金額(推定)
- 紙の出版物(書籍・雑誌): 1兆3701億円
- 電子出版物:2215億円(うち、電子コミックが1711億円)
電子書籍が増えてきたと言っても、まだ紙の書籍の16%程度。
しかも、その大半がマンガです。
小説やビジネス書など、いわゆる一般書は、まったくと言っていいほど普及していません。
「マンガならともかく、活字を読むなら紙の本だな」
と、多くの人が考えているのです。
電子書籍は誰でも出版できて、アマゾンでも販売できる
電子書籍は、誰でも手軽に出すことができます。
電子書籍販売の大手と言えば、誰もが知るアマゾンがありますが、なんとアマゾンには、無料で誰でも電子書籍を作ってアマゾンで販売できる、
「キンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)」
という出版方法があります。
今はまだ知名度は低いのですが、出版業界の方や、一般のビジネスマンの方でもアンテナの高い方は、KDPで本が出せることを知っています。そのため、
「電子書籍で本を出した」
と多くの人に伝えても、称賛されるどころか、
「ああ、出版社が相手にしてくれない原稿だから、誰でも本を出せるKDPを使ったんだな」
と、苦笑されてしまうかもしれません。
実際、KDPは無料で本を出せるため、なかには質の悪い電子書籍も多くあり、これも電子書籍が評価されにくい一因になっています。
また、アマゾンに本を出品しただけでは、膨大なWebページの中に埋もれて、誰の目にも止まりません。
電子書籍を一般読者に買ってもらうためには、紙の書籍以上の販促が必要です。
このように、「電子書籍を出した」というだけでは、著者としてブランドが確立されるどころか逆効果になることもあります。
安易に電子書籍を出すのは注意が必要です。
本を書ける人はどのくらいいるのか?
電子書籍と違い、印刷された本は限られた人しか出せません。
では、本を出せる人はどれくらいいると思いますか?
現在、日本人は1億2600万人います。
そして、毎年8万2000点の本が出版されています。
この数字だけを見ると1500人に一人が本を書いているという計算になります。
つまり、0.06%の人しか本が書けないのです。
しかも、マンガ家のようにひとりで年間10冊も出版している人もいれば、大学の先生のように研究書を専門の出版社から数多く出している人もいます。
ですから、統計的に考えると、5000人に一人くらいしか本を出せません。
このように、「自分が書いた本が書店に並ぶ」ということは、非常に希少価値が高いことなのです。
もちろん、書店に並んでいる本は、出版のプロである編集者が、
「この企画は、必ず売れる!」
と見込んで出版していますから、レベルの高さもお墨付きです。
当然、誰でも出せるアマゾンKDPとは、品質が違ってきます。
だからこそ、本を出版すると、多くの方が著者のことを、
「その道の専門家」と、高く評価してくれるのです。
電子書籍ではなく、紙の書籍を出版する意味【まとめ】
電子書籍と紙の本の違いについて説明してきましたが、ここまで読まれた方は、
「本屋に並んでいる書籍以外は信頼されない」
ということが理解できたと思います。
もちろん、電子出版が普及したおかげで、誰もが簡単に、好きなことを出版できるようになったことは素晴らしいことです。
その代わり、(一部の優れた電子書籍を除き)読む価値のない電子書籍が量産されているのは、まぎれもない事実です。
プロである出版社や編集者が入っていない以上、電子書籍全体のレベルが低くなってしまうのは、仕方のないことです。
もしあなたが、将来、価値ある本を出したいと思った時は、出版社や編集者、そして出版プロデューサーなどと組んで、全国の書店に並ぶ書籍を出版することを、強くお勧めします。