消える作家、生き残る作家の違い

2020年05月11日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■あの作家は、なぜ、消えてしまったのか?

吉田のところには、昔、とても有名だった作家が
訪ねてくることがありました。

昔、本を書いたら、ベストセラーになった。
テレビにもなった、映画にもなった、
毎月、5本も10本も雑誌に連載していた。
取材も殺到。スケジュール帳はびっしり埋まっていた……。

それから5年……。
今は、マイナーな雑誌2つくらいに、ほそぼそと連載しているだけ……。

冗談まじりに、「どうしたらいいんですかねー」と聞かれますが、
かなり、本気で、将来のことを心配しているようです。

「今、食えていますか?」と聞くと、
「いいえ、事務員の給料も払えないです」という返事。

時代の凋落を感じますが、なぜ、こんなことになったのでしょうか?

1、本の読者は、「熱しやすく、冷めやすい」という性格をもっています。

2、また、時代の波とともに、作家の書くテーマがずれてくるのです。

本人は、自分のことはわかりません。
まさか、自分が飽きられてくるなんてこと、1ミリも思っていないのです。

もう、こうなったら、あとは、坂道を転がり落ちるように、
下降線をたどっていきます。

芸人の世界には、俗に「一発屋」といわれている人たちいます。
当時、吉田の記憶にあった人たちを列挙しますね。

波田陽区
テツ&トモ
はなわ
小島よしお
エド・はるみ
にしおかすみこ
コウメ太夫
ヒロシ (吉田の名前と同じなので、他人事ではありません)

この人たちは、今後、どうなっていくのでしょうか?

作家は、本によって、鮮明に世の中にデビューします。

出てきたときには、とても新鮮です。
でも、「新鮮」ということは、すぐに「古くなる」と同義なのです。

消える作家と消えない作家の違いは、

1、作家の「バックボーン」にあると吉田は思っています。

「バックボーン」とは、時代を経ても古びない作家哲学のことです。
これがないと、一瞬にして消えてしまいます。

2、また、「応援団」がない人も消えていきます。

「応援団」とは、
 影響を受けた人。
 支えてくれる人。
 広めてくれる人、のことです。

ほとんどの作家が、自分の応援団を作っていません。
消えるのは、本人に責任があります。

ブランディングの失敗なのです。

売れているときは、毎日、仕事が入って来るので、
別に営業してなくてもいいわけです。
その生活が、あとあと、悪影響を及ぼします。

ここに、「人生の落とし穴」があります。

実は、「景気がいいときほど、努力しなければならない」のです。

■売れっ子の作家が、今、やるべきこと

では、生き残るためにどんな努力が必要かというと、
「あなたのファンの囲い込み」に尽きます。

本が10万部売れていたときにこそ、
本を買ってくれる読者をネットワークしなければいけないのです。

本が売れなくなったとき、10万人のファンは、雲散霧消してしまいます。
まずは、コアなファンを「囲い込み」ましょう。

パレートの法則から考えると、あなたのファンはこんな感じです。

1、熱狂的なファン 2割。
2、普通にあなたがスキ 6割。
3、すぐにいなくなるファン 2割。

力を注ぐべきなのは、1のファンです。
そして、2のファンを1に引き上げること。
3は、実は、ほっといてもいいのです。

では、囲い込みのために何をやるかというと、
たとえば、、「講演会」や「セミナー」や「合宿」や「個別コンサル」などです。

もっと、もっと、あなたのことを知ってもらい、
好きになってもらう努力はすべてやってください。

これで、ある程度、あなたは生き残れるのですが、
単に長生きできるだけです。
本当に、自分をブランド化したかったら、
「常に時代にあった提案」をしなければならないのです。

1、バックボーンを持つこと。

たとえば、小説も書いて、実用書も書いて、何十年も
第一線で活躍している作家の五木寛之さんがいますが、
彼のベースは、「仏教」です。

五木さんは、仏教をいつの時代にもあうように提案してくれます。

バブルのときにも、仏教……。
不況のときにも、仏教……。
「生きる」というテーマ自体は古びないのです。

2、新しいものに「貪欲」であること。

新しいものを追求しない作家は消えていきます。
常に時代が求めているものを追求する姿勢が必要です。
それが、貪欲さです。

吉田が、この作家はすごいな、と思っているひとりに、
「内藤みか」さんがいます。

彼女は、非常に貪欲です。
「ホストが好き」とか「イケメンが好き」とか、
ずっと、恋愛のことを語っているのに、
時代ごとに、自分自身をどうスライスして売り込むかを常に考えています。

「140文字小説」と名づけ、
「ツイッター小説」をここまで有名にしたのは彼女でしょう。

今までは、単なるネット上の「つぶやき」だったのに、
内藤みかさんの提案で、日本中、
みんなが短編小説、恋愛小説を書き始めてしまいました。

貪欲さとは、「柔軟性」の裏返しです。

「ツイッター婚活」なんて、造語まで考えてしまう。
素晴らしいですね!

出版愛 吉田浩