本を書いても会社で自慢してはいけない本

2020年04月17日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■本を書いた人を襲う嫉妬の嵐

いつも、「本を書くことはすばらしい」と言っている吉田ですが、
今日は、ちょっと、怖い話をします。

いいえ、「ちょっと」どころではなく、「だいぶ」怖い話です。

それは、1冊の本を書いたばっかりに、
会社を辞めざるを得なくなったサラリーマンの話です。

実在する人なので、仮にその人の名前を「山田太郎」としておきます。

山田さんは、ある民間団体に勤める職員だったのですが、
長年の趣味をまとめて、「業務改善」の本を1冊出版しました。

もちろん、初めての出版だったので、彼は大喜びで、職場の同僚たちに言いました。

「私、今度、本を出したんです!」

最初、職場の同僚たちの反応は、
「すごいじゃないか! おめでとう!」
と、賞賛の嵐でした。

ところが、これが、山田さんの人生の転落の始まりでした。

それでは、彼の身に、どのようなことが起こったのか、時系列で追っていきましょう。

1、周囲の人たちは、「おめでとう」と賞賛していたが、実は、本心は違った。

団体職員たちは、横並びを基調としていたので、
ひとりだけ才能を開花させた山田さんを快く思っていなかった。
山田さんは、いわゆる、「出る杭」になってしまったのだ。

2、本の中身に関係ないことを質問された。

山田さんが一番多く聞かれた質問は、本の中身ではなく、
「本を書いていくら儲かったの?」というものだった。

もちろん、印税なんてたかがしれている。
山田さんは、聞かれるまま正直に答えた。
しかし、それは、団体職員のボーナス分に匹敵する金額だった。

3、少しずつ、「賞賛」が「嫉妬」に変わっていった。

印税が入ったことを知ると、周囲の視線が何となく冷たくなってきた。
どこの職場でもそうだが、ひとりだけ儲けている人に対して、
周囲は、必ず、嫉妬する。

また、ひとりだけ才能ある人がいると、その人に対して嫉妬心を持つようになる。
営業成績のいいセールスマンが、同僚から賞賛と嫉妬を同時に持たれるのと同じだ。

4、「嫉妬」が「悪口」に変わっていった。

「あいつは儲けているんだ」
     ↓
「あいつは、仕事をサボって儲けているんだ」
     ↓
「本業以外で儲けるのはよくないことだ」

無意識の意識が結集し、いつの間にか
山田さんは職場では、「悪い人」になってしまった。

悪口を言っている人たちも自分では「悪口」と意識していないのだ。
悪口を言わない人も、心の奥に嫉妬心がくすぶっているので、
他の人が悪口を言ってもそれを無意識に肯定した。

5、「悪口」が「怒り」に変わった。

山田さんが飲みに行ったとき、比較的仲のよかった同僚からこう言われた。
「おまえ、儲かっているんだから、おごれよ!」

もちろん、奢る理由なんてない。
それに、儲かっているっていっても、2年かがりで書いた本で、
出版までには、何百時間も費やしている。
時給計算したら、コンビニでアルバイトしたほうがよっぽど儲かっている。

「何で、おまえに奢らなくてはならないんだよ!」
と、山田さんが反論したら、同僚はいきなり切れて、ケンカになってしまった。

6、ささいなミスもすべて揚げ足取りに使われた。

山田さんが職場で小さなミスをすると、周囲の人たちはこうささやいた。

「本なんて書いているから、ミスするんだよ……」

ミスと言っても連絡ミスとか、コピーした資料が足りなかったという
ささいなことだが、それでも小さなミスで攻撃対象になってしまった。

7、パブリックとプライベートをごちゃまぜに非難されるようになった。

ボロボロになったカバンを新調しても、
「いいねえ、見せつけるねえ」と、皮肉を言われるようになった。

山田さんが彼女とデートをしていても、周囲は、
「あいつは要領がいいからデートできるんだ」と羨んだ。

もはや、言いがかりである。むちゃくちゃである。
でも、これは、現実なのだ。

8、就業規則違反で「譴責」処分になってしまった。

山田さんと仲の悪い同僚が、上司に告げ口した。

「あいつがやっていることは、副業ですよ」

山田さんの会社の就業規則には、「副業禁止」の項目が挙げられています。
上司が重い腰をあげて、山田さんは、なんと、「譴責」処分をくらってしまった。

譴責とは、「あなたの勤務態度はよくないので注意しなさい」ということだ。

本を書いて上司に叱られる。
ありえないことだが、現実には、このような事態は存在する。

山田さんにとっては寝耳に水のことだったが、
もはや、周囲に彼を応援してくれる人はひとりもいなかった。

■本を書いても絶対に自慢してはいけない!

この山田さんの話、吉田は他人事と思えません。

吉田の経営している天才工場では、
ときどき、ベストセラーも出ます。
ときどき、儲かります。

すると、ライターさんから、いきなり嫉妬されることがよくあります。

「あいつばっかり、儲けやがって!」

でもね、天才工場は株式会社なので、儲けることが基本なのです。
企業活動をやっているわけですから、利益を出さないと潰れてしまうのです。

もちろん、いいことばかりではありません。
社員の給料が払えなくなって、カードローンで借りて払ったこともあります。
何年も、何年も、自分の給料をもらわなかったこともあります。

でも、周りは、そういう苦労を一切見ずに、
ちょっとだけお金が入ってきたとわかると、狂ったように嫉妬します。

「いくらでも利益を出す方法を教えてあげるから、相談しに来いよ」

と、吉田は思うのですが、嫉妬する人は、怒りのやり場がないのでしょう、
昔は、よく2チャンネルに悪口やウソを書かれました。(笑)

本を書いている方は、山田さんのようにならないよう注意が必要です。

副業容認の企業が増えてきましたが、
まだ、「副業」が禁止されている民間の会社も少なくありません。

会社以外の場所で、会社の業務とは違う仕事をして、
個人的にお金を稼ぐことを禁止しているのです。

実は、本を書くことは、「副業」という規定にはあてはまりません。

なぜなら、「表現の自由」という基本的人権があなたにあるからです。
もちろん、公務員の場合も同様なことがいえます。
しかし……。

「本は副業ではない。表現の自由だ」

と、あなたが主張したところで、すでに嫉妬の塊と
なっている人たちの前では通用しないのです。

会社員でありながら、講演会の講師をしている人もいます。
講師には、「言論の自由」という基本的人権があります。

本来、会社から罰せられるということはありえないのですが、
講演して、タクシー代程度の謝礼をもらっただけでも、周囲は嫉妬してしまうのです。

『週末の達人』の異名を取る小石雄一さんは、
以前は『企画のたまご屋さん』の理事も務めていて、
吉田が尊敬している先輩作家のひとりです。

小石さんは、すでに50冊くらいの本を出版されていますが、
経済産業省という立場上、会社でのパッシングの嵐はすごいものがあったそうです。
(公務員の嫉妬は、あまりにすごくて、ここでは話せません。笑)

ここで注意してほしいのは、
本を書くことは、たとえ法的にはなんら問題はないとしても、
会社内部の人間たちは、快く思わないことが少なくないということです。

特に、日本では、本が売れてあなたの知名度がアップしたりすると、
表面的には成功を褒め称えているように見えても、
心の底ではねたましく思っていることが往々にしてあります。

さらに、あなたの直接の上司がそういう心の狭い人だったりする場合もあります。
その結果、山田さんのように、会社に居づらくなる場合も無きにしも非ずです。

本を書いても、なるべく会社には黙っているほうが懸命です。
絶対に、自慢してはいけません!

どうしても会社に知られたくない場合は、
ペンネームで本を出すという方法もありますよ!

出版愛 吉田浩