出版標語辞典

2020年03月09日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■出版の心得を標語で表すとどうなるか?

このブログを読んでくれている読者の方へ。
心より感謝いたします。

皆さんへのサプライズとして、『出版標語辞典』なるものを考えました。

(このアイデアは、作家の唐沢明さんから教わりました)

出版の方法を、ぐだぐだと説明するより、
たった一言の標語で表したらどうなるか?

ちょっと、実験的ですが、『出版標語辞典』の始まりです。

まずは、企画書作成時の標語です。

●出版は出産と同じ

本は、生み出すまで、かなり苦しい。
10月10日(とつきとおか)かかるのも同じです。

●テーマは、テマヒマかけて

時間とお金をかけて積み上げてきたものが、
あなたが本に書けるテーマです。

●コンセプトはコンセント

本のコンセプトとは、最初から最後まで一貫した「統一思想」です。
本の最初から最後まで、「電流」を流してください。

●ペンネームは、変ネームでもいい

ペンネーム使うのだったら、絶対に読者に覚えてもらえる名前を使いましょう。
マンガ家の「しりあがり寿」とか、最初に聞いたときのインパクトはすごいものがありました。

直木賞のベースとなった作家、直木三十五は、
直木三十から、1つ年を取るごとに名前を変えていきました。
変ネームの使用はありですが、変人にはならないように。

●プロフィールはフロはいる

自己アピールの項目は重要です。
裸になって、すべて見せてください。

●見本原稿はコンパクト、インパクト

編集者は、だらだらと長い見本原稿なんて読みません。
適量にまとめてください。
さらに、内容に強烈なおもしろさがないと企画は採用されません。

●ターゲットのタは、たくさんのタ

読者ターゲットは「広く」「浅く」が基本です。
読者ターゲットが狭い場合、本は売れません。
たくさんの読者層にアピールできる本がベストです。

●営業力は影響力

著者の営業力は企画書を採用する要です。
いかに、本を売るためのネットワークを持っているかによって採否が決まります。

●トレンドはフレンド

常に流行に接し、流行を取りいれていなければ
売れる本は書けません。

●表紙は標識

道路標識は、0.3秒で認識されないといけません。
本の表紙も同じです。0.3秒で読者に認識されなければダメです。
これは、タイトルにも同じことが言えます。

●印税率は記憶より記録に残せ!

最近、よく聞くトラブルが、印税率です。
出版前は、「印税10%」と聞いていたのに、
出版後の契約書を見たら「印税7%」となっていたそうです。

吉田が、編集者に電話で確認したら、
「始めて本を出す著者は、印税7%」だというのです。
これは、どちらも悪いです。
必ず、メモして、お互いに確認しなければいけません。

■作家精神を標語で表してみたら?

本の著者としての姿勢もまとめてみました。

●ブログよりアナログ

たくさんの人に伝えるより、たったひとりのキーマンと
会うほうが重要なこともあります。

●耳にたこ、指にたこ

作家としてずっと食べていきたいのならば、たくさんの人の話を聞くことです。
そして、たくさんの原稿を書くことです。

要するに、たくさんアウトプットするには、
たくさんのインプットが必要ということです。
この努力をしないで「作家になりたい」というのは論外です。

●プレゼンはプレゼント

著者が編集者に対して行う企画の売り込み=プレゼンは、
著者から編集者に対してのプレゼントです。
「いい企画をもらった。ありがとう」と編集者に言われるように。

●チャレンジはアレンジ

企画書を出版社に持ち込んだ場合、仮に不採用でも、
編集者からいろいろな意見をもらうことができます。
何度もチャンレンジし、そのたびに、企画書をブラッシュアップしていきましょう。

●「何でもできます」は「何にもできません」と同じ

ライターさんで「何でも書けます」という方がよくいます。
それは、長所ではありません。どちらかというと短所です。
著者としては、「ゼネラリストではなく、スペシャリスト」が有利なのです。

●縁が円を連れてくる

「お金の縁より人の縁」といいますが、逆に、
出版人脈があると、どんどん本を出すことができます。

●コミュニケーションは飲ミニケーション

まあ、これはよく言われますね。
「ベストセラーは、居酒屋で作られる」という標語と対です。

●作家は錯覚

本を出したからといって、あなたが偉くなったのでは決してありません。
いきなりプライドが高くなる人がいます。
勘違いしないでくださいね。

●出してなんぼ、売れてなんぼ

本は出すだけでは意味がありません。
「売れない本は悪」なのです。

●書店営業は、「ポップ・ステップ・ジャンプ」

あなたが本を書いたら、近所の書店を回って営業しましょう。
その際には、手書きの「ポップ」を持っていってください。
広告用のポップがあると、本の売れ行きは5倍~10倍違います。

ここまで書いていたら、当社の役員から、
「吉田さん、それ、標語ではなく、ダジャレですよ!」
と、言われてしまいました。

そんなことないはないよ、と憤慨しながら、
最後に、標語をひとつ。

●盗作はよしこさん

あっ、やっぱり、ダジャレか……。
トラブル防止

出版愛 吉田浩