社長は、自分で本を書いてはいけません

2019年11月14日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■時給1万円の社長は、本は書くな!

最近の吉田の近況です。
毎日、会社経営者の出版コンサルをやっています。

また、社長さんから「本を出したいんだけど、どうしたらいいか?」
という相談が、激増しています。

まず、吉田は、「社長、今、どんなことで困っていますか?」
と、簡単なヒアリングをして経営課題を聞き出します。

いろいろな経営課題を聞き出し、
それを解決するために、出版がどれくらい有効なのか説明します。

たとえば、
「へえー、社長の会社で一番困っていることは、新入社員の採用なんですね。
もし、社長が本を出したら、面接を受けに来る学生はどれくらい増えるかご存知ですか?」

これは、平均、80%増えます。
社長さんが本を出すことによって、志望者が倍近く増えるのです。

それから、本を書くときに、
1、どんな作業が発生し、
2、どれくらい時間がかかるかを説明します。

あとは、その社長さんの決断だけです。
決断とは、選択肢のことです。
選択肢は3つしかありません。

1、本は書かない。
2、本は書く。ただし、自分ひとりで書く。
3、本は書く。さらに、専門家に手伝ってもらう。

はい、前置きが長くなりましたが、今回のブログは、
この2と3を選んだ方に対してのアドバイスです。

本は自分で書いたほうがいいのか?
それとも、本作りのプロに任せたほうがいいのか?

これが、今回のブログのテーマです。

結論からいうと、後者です。
当然、餅は餅屋、文章はライターさんに
任せて書いてもらったほうがいいに決まっています。

社長さんは、経営のプロでも、文字を書くプロではありません。
社長さんは、営業はできても、本の編集はできません。

ただ、社長は、おしなべて頭の回転が早く、自己主張するタイプが
多いので、自分で自分の本を書いてしまう傾向があります。

それはそれでいいのですが、コストパフォーマンスは大丈夫?
と、吉田は言いたいのです。

年商1億円の会社は、毎日、30万円稼いでいることになります。
本の執筆期間は、最低でも、2~3ヶ月くらいかかります。
そのため、社長が本作りに熱中しているあいだに発生する機会損失は計り知れないのです。

繰り返して言います。
時給1万円以上の社長は、本を書いてはいけません。

社長の使命は、経営です。
出版は、本道ではありません。
だったら、経営にまい進してください。
貴重な時間を、本を書く作業で使ってはいけません。

ただし、その本が生涯かけて自分が書きたい本だった場合、
また、話は違ってきますが・・・・・・。

■ライターに原稿を書いてもらうメリットデメリット

本の著者を取材して原稿を書き上げるライターのことを、
俗に、「ゴーストライター」と言います。

吉田は、この言い方は嫌いなので、
「専門ライター」「インタビューライター」と読んでいます。
いくら、裏方でも、「幽霊」はないですよね?

「専門ライター」とは、その言葉の通り、
自分の得意な分野の著者をインタビューし、
1冊、書き上げてくれる専門性の高いライターのことです。

「インタビューライター」も同じく、著者をインタビューして
本を書いてくれるライターのことです。

さて、ここで、本を書く作業をプロのライターに頼む、
メリットデメリットを考えていきましょう。

●専門ライターに書いてもらうメリット

・取材形式なので、著者の内側からたくさんのネタを引っ張り出してくれる。

・専門的知識を集約して文章を書くので、本の中身が濃くなる。

・話が膨らむ。話がおもしろくなる。話が立体的になる。

・著者が自分では気がつかない「強み」を見つけてくれる。

・著者がまったく思いもしなかった「視点」で構成してくれる。

・読者の視点で、読者が求める内容を書いてくれる。

・主観的(ひとりよがり)な部分をなくし、客観的に表現してくれる。

著者は、本当に自分で自分のことはわかりません。
自分ではおもしろいと思っていても、読者にはちっとも伝わらないことが多くあります。

『バカの壁』はミリオンセラーになりましたが、あの本は、
初めて、養老先生がライターに執筆を任せた本だそうです。

また、『女性の品格』もお化けミリオンセラーになりましたが、
章構成や目次構成は、PHPの担当編集長が行ったそうです。

ただし、専門ライターに書いてもらう方法が、必ずしも最善手というわけでもありません。
欠点も押さえておきましょう。

●専門ライターに書いてもらうデメリット

・ライターのレベルによって、本の売れ行きが左右されてしまう。

・ライターの力がないと、著者の満足のいく本ではなくなってしまう。

・ライターがプロ意識を持ちすぎて、著者の書きたいことをすべて否定してしまうことがある。

・著者がライターの書く文章が気に入らなかったらトラブルに発展する。

・ライターが著者の意図を汲み取れないことがある。

・「吉田さん、著者にセクハラされました」という事例もあります。
 まあ、これは、特殊なケースですが。(笑)

・プロのライターを使うため、当然、経費がかかります。
 経費とは、原稿料のことです。

社長さん自らが書くメリット、デメリットも押さえておきましょう。

●社長さんが自ら書くメリット

・自分の書きたいことを100パーセント盛り込むことができる。

・社長さんの満足度、達成感が高まる。

・本当に世の中に訴えたいことが、書くことを通して鮮明になることがある。

・執念=魂が宿った渾身の1冊になることがある。

●社長さんが自ら書くデメリット

・最初に説明した通り、本業が疎かになる。

・コストパフォーマンスが、メッチャ悪い。

・全章、自分の自慢話になってしまう可能性がある。

・改善の本ではなく、文句を垂れる本になってしまうことがある。

・社長さんは文章の素人なので、本がまったく売れないことがある。

・「だれがこんな本買うの?」という自費出版レベルになってしまうことも・・・・・・。

それでは、まとめです。
総合評価の発表です。

  本は、やっぱり、プロの専門ライターに書いてもらってください。

これが、今回の結論です。
特に、最初の1冊目はそうです。

本を書くときの苦労は、ここでは語りつくせないくらいあります。
そして、不安もたくさん発生します。
それらのすべての苦労や不安を、出版初体験の社長さんに
一身に受けてほしくないのです。

社長さん、最初の1冊目は、プロの方の力を借りて出しましょうよ。

無理して、苦労する必要はないですよ。
今の時代、苦労は、美徳ではありませんからね。

出版愛 吉田浩