「こんな私でも本が出せますか?」という不安

2019年10月29日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■出版に対して誤解している人々

以前、ダイヤモンド経営者倶楽部にて、講演をさせていただきました。

パスメディアの主藤社長がインタビューして、
出版プロデューサーの吉田と、
サンマーク出版の高橋編集長が答えていく、
パネルディスカッション形式の出版セミナーでした。

ちょっとびっくりしたのは、出版に対して誤った知識を持っている方が何人かいました。
それは、こんなことです。

1、本を出版するときに、企画書が必要なことを知らない人が何人かいました。

2、「全部原稿を書いてから持ち込まなくてはいけない」と言う人もいました。

3、「文章力がないから本が書けない」と信じている人がたくさんいました。

4、「本は才能のある人だけが出せる」と思い込んでいる人がいました。

最も多かった質問は、
「こんな私でも、本を出すことはできますか?」
という、非常に根源的な問いかけです。

そのとき、吉田は、改めて認識しました。
「ああそうか、初めて本を出す人はとても不安なんだな」と。

そこで、吉田は、
「だれでも簡単に本は出せますよ」と、具体例を説明していきました。

1、天才工場で働いていたアルバイト学生は、
  ほとんど3ヶ月から半年くらいで、1冊本を出していたこと。

2、学生で一番多く本を書いた人は、石井大地くんという東大生で、
  なんと、当時大学1年生で、10冊、企画のたまご屋さんから本を出したこと。

3、企画のたまご屋さんで一番多く本を書いた人は、中学校の国語の先生で
  根本浩さんです。1年間で、13冊の本を企画のたまご屋さんから出しました。

4、家族で、何冊も本を出版している人もいること。
  栄養学博士の菅原明子先生、
  歌手の菅原やすのりさん
  漫画家の菅原壮太くん。
  それから、化粧品会社も立ち上げている娘の菅原麗子さんです。

5、『出版甲子園』の学生メンバーも、
  ピカソという出版サークルの学生たちも、どんどん本を出しています。

6、『14歳の政治』という本が、『企画のたまご屋さん』から出ました。
  これは、中学2年生の女の子が、総理大臣や国会議員を取材して書いた本です。
  この本は、単行本、文庫本とあわせて、7万部くらい売れています。
  (もうちょっとで、ベストセラーの仲間入りですよね)

中学生でも、一国の首相をインタビューして本が書けてしまうのです。
どうして、大人が本を書けないのでしょうか?
 
最初に、石井大地くんが、「吉田さん、ぼく、1年間に10冊書きます」と
言ったとき、私は、「そんなこと、絶対にできっこないよ」と言いました。
「大人でも生涯に1冊しか出せない人もいるんだから」とも。

ところが、彼は、1年で10冊出版。
そして、翌年も同じ数だけ本を出してしまいました。

吉田は、ここで認識を改めました。

「だれでも、本は書ける」ではなく、
「だれでも、たくさん本は書ける」と。
                                   
ですから、「こんな私でも本が書けますか?」という皆さん、
吉田は、断言します。

「はい、書けます。毎年、1冊書けます」と。

本を作るときに、著者の才能や特殊な体験はある程度必要ですが、
絶対に不可欠というわけではありません。

きちんと企画書が書けて、その企画書を出版社が採用してくれれば
あっけないほど簡単に本は出せるのです。

■大人のほうが心配性

「本を出すのは難しい」と思っている方は、共通して、
「特別な能力のある人でないと本は出せないのではないか?」と思い込んでいます。
「特別な体験をしていないと出せないのではないか?」という先入観を持っています。

いいえ、特殊な能力を持っている人でなくても、
特別な体験をしていなくても、本は出せるのです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

あなただけのUSPを見つけるだけで終わりです。

USPとは、ユニーク・セリング・プロポジションのことで、略すと、
あなただけが持っている「強み」です。

さて、この「強み」も、一般的には、
オンリーワン、ナンバーワンの武器だと思われがちですが、
全然、そんなことはありません。

USPとは、あなたが、
1、毎日、繰り返しやっていること。
2、やっていて楽しいこと。
3、他の人はなかなかできないこと。

たったこれだけ見つければいいのです。

オンリーワンでなくても、ナンバーワンではなくても、
あなただけの切り口で本が書けるのです。

それから、吉田は、「文章上達のコツ」をこれまたよく相談されます。

「私は、文章を書くのが苦手で苦手で。
だから、私なんて、本は出せないですよね?」

そんなことはないんです。
本は、著者が書く必要すらないのです。

世の中には、聞き書きライターという専門分野のライターさんがいます。
あなたが話したことをあなただけの視点ではなく、客観性を持って、
すぐれた文章にしてくれます。

聞き書きライターが1冊の本を仕上げる料金はだいたい60万円くらいです。
(この他に、編集料金が20万円くらいかかります)
忙しい社長が、2ヶ月も3ヶ月も本の執筆にかかりきりになって
本業をおろそかにしてはいけません。

餅は餅屋、専門的なことは、その道のプロに任せましょう。

本当に自分が本を書けるかどうか、最初は不安でいっぱいですよね。
でも、ひとつひとつのハードルをクリアしていくことによって、出版は
だれでもゴールできる公平で平等なレースなのです。

出版愛 吉田浩