初めて出版する人が陥りやすい7つのワナ

2019年10月09日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

初めて出版するときは、だれでも、とても不安ですよね。

書く時間がない。
時間があっても原稿が書けない。
書いても編集者からダメ出しが来る。
書き直しても、さらに修正してくれと言われる……。

これは、1冊の本を作るときにだれもが経験する苦労のほんの一部です。
この他にも、たくさんのハードルを乗り越えて、やっと本が誕生します。

今回のブログでは、初めて出版する人が陥りやすいさまざまな危険について説明します。

1、自分が書きたい本を書いてしまう。

「私が著者なんだから、私が書きたい本を書いてどこがいけないの!」
と、お叱りの言葉が返ってきそうですが、これこそが危険な落とし穴なのです。

出版社が求めているのは、「世の中に必要な本」で、「売れる本」です。
「あなたが必要な本」でも「あなたが書きたい本」でもないのです。
あくまでも「読者のための本」なのです。

「私は、これを伝えたいんだ!」という著者の思いが強すぎると、
読者がまったく楽しめない本になってしまいます。

2、「枝葉の本」を書いてしまう。

「枝葉の本」とは、あなたという大きな木の幹でも根っこでもなく、
今、売るためだけに奇をてらった本のことです。

「枝葉の本」の特徴は、3ヶ月くらいで書店から姿を消します。
もちろん、世の中からも完全に消えてしまいます。

今、あなたが書ける本。
今、売れそうな本。
たった、それだけの理由で本を書いてはいけません。

まずは、あなたの幹と根っこの部分を押さえましょう。
出版も戦略から考えていかないと、枝葉末節の本しか書けなくなってしまいます。

3、全部、我流で書いてしまう。

本を書くときには、少なくとも同じようなテーマの本を5冊読んでください。

これは、必須要件です。
これを、「類書研究」と言います。

類書を読むのは、とても重要です。
これを読んでいないとテーマの比較検討できないので、
自己流の勝手な理論だけが先行した本ができあがってしまいます。

あるいは、中身が超薄っぺらい本になってしまいます。

以前、吉田の友人(男性)が恋愛本を出して、見本を郵送してきました。
中身を見たら、びっくりするくらいつまらない。
だれでも知っていることをあたりまえに書いているだけ。
「おまえ、本当に、恋愛したことあるの?」と思わず叫んでしまいました。(笑)

「他の人の本を読んで、ちょっとは勉強しろよ」と、
これは、思わず本人に言ってしまいました。

4、資料を集めずに書いてしまう。

あなたの頭の中にある知識は、あなたが思っているより情報量が少ないと思います。
また、その知識は、ほとんどの人が知っている可能性があります。

書籍の情報は、斬新で、かつ有益で、かつ実効性がなければなりません。

今は、ネットで調べればどこまでも深く情報を手に入れることもできます。
海外の最新情報も、日本語変換ソフトがあれば、大意はかなりつかめます。

この基礎的な作業をしていないと、本の内容も一面的な中身になってしまいます。

5、大手出版社から本を出したがる。

これは、ほとんどの方が抱いている幻想です。
決して、大手出版社、有名出版社から本を出すのがいいとは言い切れません。

というのは、大手出版社は出版点数が多いので、
トップ1割に入らない本は、その場で消えてしまう可能性が高いのです。

毎月50冊本を出している出版社のベスト5に入るのは至難の技です。
それよりも、月に2~3冊しか出さないが、確実に売ってくれる出版社のほうがお勧めです。

6、修正するのを嫌がる。

実は、こういう著者の方、意外と多いのです。

自分の書いた文章や、自分の書きたいテーマに対して思い入れが強すぎて、
編集者が「ここを、こう変えてくれ」という要請に対して、「NO!」を連発します。

特にタイトルの変更に関して、頑として受け入れない著者がいます。

タイトルは、出版社の決定事項です。
著者は要望は出せますが、決定権はありません。

出版社は、一番売れるタイトルをつけたがります。
ときには、それが大間違いのときもあるのですが、
まずは、素直に編集者の意見に従ってください。

吉田が客観的にジャッジして、出版社の意見は8対2くらいの割合で正しいことが多いようです。

7、印税を自分のために使ってしまう。

出版の目的はお金を稼ぐことではありません。

あなた自身のブランディング、
あなた自身のPR、
あなた自身の自己実現、
あなた自身のマネジメント、
あなた自身の飛躍のために出版しているわけです。

「印税が出た、よかった、よかった」ではなく、
その印税は、全額、その本の販促に使ってください。

というのは、1冊目を死に物狂いで著者が売らないと、2冊目が出ないのです。
これは、理想からかけ離れているかもしれませんが、現実問題です。

逆に言うと、1冊目が売れて、2回、3回と重版がかかった場合、
黙っていても、たくさんの出版社から声がかかるのです。

「うちの会社から本を出してください!」と。

以上です。

1冊目の出版は大いなる苦労とチャンスがあるとともに、
実は、あなたの将来すべてに影響を及ぼすという事実を知ってください。

このブログをお読みの皆さんは、間違いを犯す可能性が低くなり、
かなりの確率で2冊目、3冊目を出版することができるに違いありません。

また、そうなっていただくことが、私にとっても最大の喜びなのです。

出版愛 吉田浩