企画書の売込みがうまい人、ヘタな人

2019年09月26日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■売り込みは自分に合ったタイプを選ぶ

出版セミナーでもっともよく聞かれる質問はコレです。

Q、企画書はどうやって売り込んだらよいでしょうか?

企画書売り込みの方法は、大きくわけて3つあります。

1、いきなり出版社に送りつける。

2、編プロを通して持ち込んでもらう。

3、過去に出版した著者から紹介してもらう。

ちょっと回り道の売り込み方もあります。

4、賞に応募する。

5、先生に弟子入りする。

6、出版の専門学校に通う。

ネットを使う方法もあります。

7、ブログで人気ベスト10に入る。

8、メルマガやSNSなどの書き込みを編集者に注目してもらう。

そして、一番、採用確率が高いのが、コレです。

9、出版記念パーティーなどで知り合った編集者に売り込みをする。

10、出版プロデューサーや出版エージェントに売り込んでもらう。

過去に、吉田の知り合いの女性の著者は、
ものすごい裏技を披露しました。

なんと、いきなり代々木駅に行って、幻冬舎の見城社長に電話をかけたのです。

O女史
「あのー、私、恋愛本を書いているOと言います。
 ●●出版社や●●出版社から本を出しています。
 見城社長に、私の企画書を見てもらいたいのですが……」

見城社長
「あなた、今、どこにいるの?」

O女史
「はい、代々木駅です」

見城社長
「ああ、そう! わざわざ近くに来てくれたんだね。
 そういうことなら、会いましょう。すぐ、来てください」

なんと、O女史は、その場で、見城社長と対面。
企画書を提出しました。

見城社長は、局長と編集長を呼び出し、
「Oさんの企画書を吟味するように」と言い渡しました。

社長命令ですから、本が出ないわけがありません。

その本は、3ヶ月後には、幻冬舎から出版されてかなり売れました。

この話を、直接、O女史から聞いたとき、吉田は、
飛び上がって驚きました。

「Oさん、すごい! 私は、そこまでできませんよ」

このOさん、メジャーなテレビ番組によく出演しています。
ガッツと、バイタリティーだけは、だれにも負けない人です。

これは、特殊な例で、吉田はあまりお勧めできません。
なぜなら、吉田は、いきなりアポなしで来られても対応できないからです。
仕事が忙しいときには、えらい迷惑です。(笑)
でも、世の中には、「突撃訪問」を喜ぶ社長もいるんだなあ。

売り込みのコツは、直接、出版社のまん前まで出向いて、そこで電話をかけることです。
簡単そうで、普通の人には、なかなかできない方法ですね。

■売り込み方法のメリット・デメリット

さて、売り込み方法のメリットデメリットを説明していきましょう。

1、いきなり出版社に送りつける。

大手の出版社では、持ち込み企画は受け付けていません。
代表の電話番号にかけても、断られるだけです。

本の奥付を見て、編集者の名前が載っていたら、
名指しで、原稿を送り付けましょう。

メリットは、量で勝負できるということ。
「ヘタな鉄砲も数打ちゃ当たる」というわけですね。

デメリットは、「採用は運任せ」ということです。

2、編プロを通して持ち込んでもらう。

編プロは数十社の出版社を知っているので、
あなたの作品に合った出版社を知っている可能性があります。

メリットは、希望の出版社に持ち込んでもらうことができること。

デメリットは、編プロの実力によっては出版できないということです。
また、紹介料もかかります。

3、過去に出版した著者から紹介してもらう。

これは、以前のメルマガでも紹介しましたが、とても有効な方法です。

メリットは、著者の知名度によって待遇が違うこと。

デメリットは、企画書の出来が悪いと紹介者の顔を潰してしまうことです。

4、賞に応募する。

ビジネス書、実用書の場合は、なかなか賞はないのですが、
小説や携帯小説の場合は、かなりたくさん賞があります。

メリットは、大賞作品、優秀作品は無条件で出版されること。

デメリットは、競争倍率が高いので、よほど才能がないと難しいことです。

5、先生に弟子入りする。

吉田の童話の先生は、寺村輝雄先生と、小沢正先生です。
両者ともに、日本のナンセンス界の双璧です。
この先生に師事し、吉田は、200冊の童話、紙芝居、絵本を発表しました。

メリットは、先生のコネクションで出版社への紹介もあるということ。

デメリットは、専門性を学ぶための膨大な時間がかかるということです。

6、出版の専門学校に通う。

吉田は、以前、「編集の学校・文章の学校」で先生をやっていました。
「早稲田大学オープンカレッジ」や「サンシャイン文化センター」などでも
教えていました。
早稲田大学の場合は、もう、教え子が十数冊の本を出しています。

メリットは、講師に個人的に相談できること。同好の友人と出会えること。

デメリットは、お金と時間と労力がそれなりにかかること。

7、出版記念パーティーなどで知り合った編集者に売り込みをする。

現在、多くの著者がこの方法で本を出しています。

メリットは、出版業界とのコネクションができること。

デメリットは、そんな有効なパーティーはなかなかないこと。

8、出版プロデューサーや出版エージェントに売り込んでもらう。

吉田が代表を勤める『天才工場』は、この8に該当します。

一番、お勧めしたいのが、これですね。

メリットは、著者が寝てても出版社が決まります。
数百社ある出版社の中から最適な出版社が見つかります。
出版社や編集者などと打ち合わせをするときにアドバイスがもらえます。
出版にいたるまでにはさまざまなトラブルがあるのですが、
すべてに、対応してもらえます。

まだまだ、あるのですが、これくらいにしておきますね。

デメリットは、ほとんどないのですが、しいてあげれば、
本の売り込み方法によってお金がかかることです。

■こんな非常識な著者が本当にいる!

さて、吉田が最近感じているのは、非常識だな、と思える著者が
かなりいることです。

たとえば、「吉田に会いたい」と、天才工場にやってくる著者がたくさんいます。
1時間くらいのお約束で会うのですが、
だいたい2時間くらいは経ってしまいます。

吉田が、企画書に対して、ついついアドバイスしてしまうからです。

でも、翌日、お礼メールを送ってくる方は、3割くらいしかいません。
あとは、なしのつぶてです。

ひどい人になると、毎週、毎週、
「吉田さんのアドバイス通りに企画書を直しました。見てください」
と言ってやってくるのに、途中で、勝手に、出版社に売り込んでしまう人です。

吉田がアドバイスした企画だから、そりゃあ、一発で採用されますよ。

しかし、本人からはその後、なんのお礼状もない。
まあ、普通は、「お礼」よりも「謝礼」でしょうが……。

たぶん、
途中から、自分で売り込めると思うようになっちゃうんでしょうね?
途中から、全部、自分の力で作ったと思い込んでしまうんでしょうね?

特に、女性の著者にそういう傾向が見られます。

最後に原稿を書き上げると、今まで、アドバイスされたこと
なんて100%忘れて、全部、自分の力で書いたと思い込んでしまうのです。

別に、吉田は、そういう方は、そういう生き方でいいと思います。

しかし、「最後の授業」をクリアしないと、本は売れません。

そういう身勝手な著者が勝手に売り込んで出した本は、
見事に売れません。

そりゃあそうです。
一番肝心カナメの本の売り方を、吉田はまだ教えていないからです。

そういう著者に限って、本が売れないとずうずうしく
「どうしたらいいですか? 教えてください」と、相談してきます。

吉田は意地悪して言いました。
「他の人に相談したらいいじゃないの?」
「いえ、何人かの人に聞いたら、みんな、吉田さんに相談しなさいって言うんです」

まあ、呆れるやら、かわいそうやら、でも、これ以上、
私の大事な時間はあげられないので、
そういう非常識な輩とは縁を切らせていただきます。

これから本を書く方、くれぐれも、非常識な著者にはならないでください。
そういう方は、必ず、悪い噂がたちますし、編集者からも
編プロからも、誰からも相手にされなくなってしまいますからね。

いい本、売れる本は、信頼関係の中からしか生まれないのです。

出版愛 吉田浩