2冊目が出版できる人、できない人

2019年05月08日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■1冊目は死に物狂いで売る

Q,念願の1冊目を出版したのですが、2冊目がなかなか出ません。
 一生懸命売り込みをしているのですが、どうしたらよいですか?

A,これは、よくある質問です。
 今、一生懸命、企画を売り込んでも遅いのです。
 本が出たときに一生懸命、その本を売らなければなからなかったのです。

Q,1冊目を出すと、2冊目は出しやすいのではないでしょうか?

A,いいえ、1冊目が売れなかった場合、逆効果です。

ほとんどの著者は、間違った思い込みをしています。
1冊目が出ると、2冊目も簡単に出版できると。

1冊目で本を書くスキルを学んだため、
物理的には1冊目よりも早く制作できるかもしれません。
しかし、出版社が企画を採用してくれるかどうかは別問題です。

前回のブログで、
「本が発売されたときには、もう勝負はついている」
というお話をしました。

同じように、
「1冊目を出したときに、2冊目が出せるかどうか」
こちらの勝負も、もう決まっているのです。

出版社は書店のパブラインを通して、あらゆる本の売れ行きを知ることができます。
あなたの書いた本の売れ行きが悪かったら、
その事実もたちどころにわかってしまうのです。

実際に、吉田が会長理事を務める、出版エージェント
「企画のたまご屋さん」で企画を売り込むときにも編集者からよく言われます。

「この著者が前に出した本の売れ行きを調べましたが、
まったく売れていないですね。これでは、当社では無理です」

最近でも、同じケースがありました。
しかも、過去に10冊の本を出している有名作家の企画でさえボツになりました。
本の内容以前に、出版実績を見て「不採用」と判断されたのです。

採用前にダメ出しされる事態を避ける方法はひとつしかありません。
とにかく1冊目は、必死に、売って売って売りまくることです。
極端な話、「原稿料はすべて販促費用に使う」くらいの気構えが必要です。

Q,1冊目の本はどれくらい売れたらいいのでしょうか?

A,実売8割を目指してください。

たとえば、あなたの本の初版が7000部だったら、
5600部売ることを目標にしてください。
本が8割売れたら、その版元だけではなく、
他の版元も「ああ、よく売れたな」と評価してくれます。

もし、10割売れたらどうなるでしょうか?
まず、重版がかかります。
さらに、その本の続編が出ます。

初版の発行部数すべてが売り切れるという本はなかなかありません。
もし、それができたら、逆にあなたは、
多くの出版社から2冊目を出版できるチャンスを手に入れたも同然です。

■ずっと2冊目が出ないあなたへ

1冊目の本が凡打で終わったあなたへ、
それでもどうしても2冊目を出したいと思っているあなたへ、
あきらめないでください。方法はあります。

1,まず、初心に返ってください。
最初の本は、勢いや運で出版できることがあります。
たまたまいい編集者に出会っただけかもしれません。
もう一度、出版のノウハウを学び直すことも必要です。

これは、「登山」の鉄則と同じです。
道に迷ったら、元の道に引き返してください。

2,もう一度、自分の棚卸しをしてみる。
自分には何が書けるか、もう一度、自問自答してください。

1冊目と同じテーマ、同じ切り口、同じターゲットでは2冊目も売れません。
違うテーマ、違う切り口、違うターゲットを探してください。

3,著者ニーズではなく読者ニーズで書く。
往々にして1冊目の本は、著者が書きたい内容に傾きます。
そのときに、読者が忘れ去られてしまうことがあります。
2冊目は、きちんと読者を楽しませてください。

4,出版プロデューサーにアドバイスをもらう。
必ず、出版のプロに意見を聞いてください。

2冊目が出ない原因は、必ずどこかにあります。
それは客観的なことなので、主観的に見ている著者にはわかりません。
出版プロデューサーは、著者の進むべき方向を導いてくれます。

5,2冊目の本を買ってくれるファンを作る。
1冊目が売れなかったのは著者にも責任があります。
それならば、2冊目が売れるよう著者も努力すべきです。

地道に、あなたのファンを作ることから始めてみませんか?

たとえば、ホームページに掲載する。
フェイスブックや、ツイッター等のSNSで紹介する。
ブログで読者を拡大する。
メルマガで情報を提供する、などです。

小冊子を作って配布するということも効果があります。
講演会やセミナーを開催しながら、地道にファンを増やしていくことも有効です。

出版は1冊では終わらない世界です。
それどころか、100冊でも200冊でも可能です。
サラリーマン人生は40年ですが、作家人生には定年退職がないのです。

出版愛 吉田浩