著者が自分の本を売らなくてだれが売る!

2019年04月02日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■勝負は本が出る前から決まっている

今回は、「本ができたあとの販促」について説明します。

さて、結論から言います。
「本ができたあとから販促をしても、まるで遅い!」のです。

実は、あなたの本が売れるか売れないかは、
本が出る前から決まっているのです。

前もって、本の販売手段を考えておかなければ、
絶対に売れっこありません。

通常の商売では考えられないことですが、
書籍はほとんどマーケティングリサーチをしません。

商品を作ってから、「だれに売ろうかな?」と考えるのです。

信じられますか?

商品の流通ルートが確定していないのに、
先に商品だけ作ってしまうのです。

(たぶん、これは、本の製造コストが安いために可能なのです。
といっても、1冊作るのに300万円~500万円かかりますが)

それでは、本ができる前にどうやって本を売ったらよいのか、
吉田が2008年に出版した、『人生の時間銀行』(扶桑社 980円)という
大人の絵本を例にとって、具体的に説明していきましょう。

『人生の時間銀行』は、『時間銀行』という
ネットで流れているチェーンメールをモチーフにしたお話です。

時間の大切さを50行くらいの短い詩で教えているのですが、
これに吉田が独自の解釈を加えて、大幅に書き直しました。

さて、この『人生の時間銀行』は、扶桑社をはじめ、
5つの大手出版社から採用通知が来ました。

なぜ、最終的に扶桑社に決まったかというと、
一番熱心にこの本を評価し、販促にも協力してくれたからです。

吉田は、本を作る前から本の売り方を考え、それを実践していきました。

1,まず最初に、扶桑社の系列会社のニッポン放送で、
当時ラジオパーソナリティだった小倉淳さんが、1ヵ月、詩を朗読してくれました。

要するに、本を出す数か月前から、「読者を作る」ことを始めたのです。

2,ネットでチェーンメールの『時間銀行』を紹介している方全員に、
「本が出たら献本するので、ネットで紹介してほしい」という
お願いの手紙を書いて送りました。

3,アマゾンでも紹介してほしいので、
アマゾンの書籍販売の担当者に、原稿を送りました。

アマゾンでは、本が発売される前に、「先行予約」という制度があります。

予約注文が殺到すると、出版社がその状況を見て、
いきなり、本の発売前に重版が決定することもあります。
先行予約をできるだけたくさん確保するというのは、
本の販促にとっても有効な手段です。

4,扶桑社の編集長と部長が、
セブンイレブンのバイヤーに事前に企画を売り込み、
全国のコンビニにて販売することを決めてくれました。

こうして、『人生の時間銀行』は、発売前から
ある程度の売れ行きが決まっていました。

■本は3回、売ることができる

本は、できてから売るのではなく、できる前から売るのが効果的です。

さらに、吉田の戦法はこうです。
本が出る前、出た時、出た後、3回売りました。

1,「本が出ますよ~!」
本が出ることを前もって宣伝し、アマゾン等で先行予約してもらいます。

2,「本が出ましたよ~!」
本が出たときに、大々的に告知し、その場で購入してもらいます。

3,「本が売れてますよ~!」
本がでたあとに、さらに何度も告知して買ってもらいます。

ここまでやっても、『人生の時間銀行』は、
まだ、30000部しか売れていません。
(ただし、ネットでは、コンスタントに売れ続けていて、
 出版してから7年後の2015年に再び重版がかかりました)

いかに、本を売るのが大変か、わかっていただけたでしょうか?

さて、次回は、本の売り方第2弾です。

リアルとバーチャルの2つの売り方について、
論じていきたいと思います。ご期待ください。

出版愛 吉田浩