本の売り込みはお見合いと同じ
2019年02月27日
こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。
■どこの出版社に持っていくか、それが問題
今回は、企画書の売り込みについて解説します。
さて、企画書ができあがり、
あなたが次にやることは、売り込みです。
Q,あなたは、どの出版社に持ち込みますか?
出版業界には、いわゆる「大手御三家」と言われる
大手出版社が存在しています。
それが、講談社、小学館、集英社です。
本の内容によっては、ビジネス系の出版社から出すことがステータスになります。
たとえば、経営者が本を出したいと願う「ビジネス御三家」は、
ダイヤモンド社、日本経済新聞社、東洋経済新報社です。
「カルチャー本御三家」なら、
宝島社、マガジンハウス、扶桑社でしょうか。
あなたが書きたい本によって、持ち込む出版社はすべて違います。
たとえば、「英語が本格的にマスターできる専門書」を売り込みたいのならば、
ベレ出版、アルク出版、明日香出版社など、語学書に強い出版社に
持ち込まなくてはなりません。
ところが、同じ英語をマスターする本でも、
タイトルが変わると、持ち込む出版社もがらりと変わります。
ちなみに、以前、『企画のたまご屋さん』で、
採用された英語の本ではこんな本があります。
『基本にカエル英語の本』(スリーエーネットワーク)
『英語が瞬間口から出る 汽車ぽっぽメソッド』(幻冬舎)
『センター試験 でた順 英語』(Book&Books)
『赤毛のアンのおしゃべり英語レッスン』(あさ出版)
要するに、
1,専門書は専門の出版社で出版するのが有利。
2,エンタメ本はたくさんの出版社から出版できる。
ということです。
このメルマガでも何度も書いていますが、
企画を「深堀り」して特定のコアファンに届けるか、
企画を「浅堀り」して不特定多数の読者に届けるか、なのです。
■「3高」出版社の落し穴
本を出版社に売り込む場合、運がよければ、
「うちで出版したい」という版元が何社か見つかる場合があります。
『企画のたまご屋さん』では、多いときには、
5社とか、10社とか、出版のオファーがあります。
「どの出版社から出したらいいですかね?」
と、尋ねられたら、吉田は、必ず、こう言います。
「必ずしも、3高がいいというわけではないので注意してください」
「お見合いの3高」とは、相手の男性が、
「高学歴」「高収入」「高身長」のことでしたね。
「出版社の3高」とは、
「知名度」「発行部数」「印税率」のことです。
出版社の決め方は、お見合いと非常によく似ています。
だれもが、有名な出版社で本を出したい。
たくさん印刷してもらいたい。
たくさん印税がほしいと思っています。
ところが、ここに大きな落とし穴があります。
大手出版社ほど出版点数が多いので、
1冊1冊の本を丁寧に売ることができないのです。
たとえば、出版点数日本一の出版社は講談社です。
年間2000冊も出しています。(2007年時点)
月に200冊近く出版するとなると、
全部の本を丁寧に宣伝することは物理的に不可能です。
売れている本は営業するが、
売れていない本は営業しない、
という自然淘汰の法則になってしまいます。
売れている本を宣伝するのと、
売れていない本を宣伝するのと、
どちらが会社に利益をもたらすか、一目瞭然ですよね。
売れている本は、全体の1割です。
残りの9割は置き去りにされてしまうのです。
さて、あなたが書いた本は、
あなたが生涯をかけて書いた渾身の1冊です。
1対9の法則で、9割のほうに入ってしまうと、
翌月からは、絶版街道まっしぐら、という事態になってしまいます。
ですから、吉田は、複数社で企画書が採用されたときには、
「あなたの本を一番丁寧に、長く売ってくれる出版社にしなさい」
と、アドバイスしています。
そして、『天才工場』や『企画のたまご屋さん』では、
「編集者3高」の出版社で本を出すことを勧めています。
「編集者3高」とは、編集者の
「熱意」「理解」「販促」です。
それが著者にとって一番良い方法だということは、過去、
天才工場やたまご屋さんから出た著者がミリオンセラー作家に
なったことからも証明されています。
出版愛 吉田浩