風が吹くと桶屋が儲かる

2018年10月01日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■バブル崩壊後の売れた本とは?

江戸時代にできたことわざで、
「風が吹くと桶屋が儲かる」というのがあります。
            
 1.. 大風で土ぼこりが立つ
 2.. 土ぼこりが目に入って、盲人が増える
 3.. 盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)
 4.. 三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
 5.. ネコが減ればネズミが増える
 6.. ネズミは桶を囓る
 7.. 桶の需要が増え桶屋が儲かる
         (ウィキペディアより)

今日のメルマガは、この「風桶」を検証しながら、
時代とともにどんな本が売れてきたかを探ります。

過去に売れた本の理由をつかめば、
次にどんな本が売れるかわかります。

事例のひとつとして、今回は「実益本」を考えてみましょう。

●1993年、日本はバブルが崩壊しました。
    ↓
●日本全国の会社が不景気で、時間短縮をしました。
残業しないで早く家に帰れというわけです。
    ↓
●サラリーマンのおじさんたちは、
夕方の5時~6時に、帰宅を余儀なくされました。
    ↓
●残業代がつかなければ、おじさんたちのおこづかいは減ります。
    ↓
●さて、バブル崩壊後にどんな本が売れたかというと、
「副業本」です。
    ↓
●日本中で、「副業本」ブームがまき起こりました。

吉田が、『週刊大衆 増刊号』に提案して始まった連載、
「楽して稼げる副業特集」は、常に読者投票第1位でした。

Q,さて、「副業本」から数年後、次はどんな本が売れたでしょうか?

A,「節約本」です。
 その理由は……。

●旦那の給料がダウンすると、
奥さんも生活費を切り詰めなくてはなりません。
    ↓
●日本中の主婦たちはこぞって節約を始めました。

バブル崩壊後、夫が外でできることは副業。
妻が内でできることは節約だったのです。

■時代の流れを読んで売れる本を作る

●さて、外で副業に精を出していたおじさんたちに、
しばらくすると変化が訪れます。
    ↓
●実は、会社の就業規則では、副業は禁止なのです。
何十万人ものサラリーマンが就業規則違反で罰せられました。
    ↓
●そこでおじさんたちは考えました。
「外での副業が禁止ならば、自宅で起業すればいい」と。
    ↓
●その後、アフィリエイト全盛時代がやってきました。
ネットを使った情報販売もたいへん盛り上がりました。
    ↓
●おじさんたちの収入は、「副業」から「週末起業」へと
変貌を遂げました。
    ↓
●そして、「週末を使って稼ぐ本」がたくさん売れました。
株で儲ける本、海外投資の本などは、
実は、すべてこの一連の流れに沿っています。

Q,さて、最大の難題は、コレです。
 「週末起業」のあとにはどんなブームがくるでしょうか?

A,自分自身を高める教養や趣味のブームが
 来るのではないかと思います。

『週末の達人』でベストセラーを出した小石雄一さんは、
それを、「週末留学」と名付けました。

・週末を使って資格を取る本。
・週末を使ってきれいになる本。
・週末を使って自己実現する本。

こんな本がこれからベストセラーになるかもしれませんね。

今回は、事例として「趣味と実益本」だけで考察しましたが、
この他にもたくさんのブームがあります。

「仕事術の本」で考察すると、こんな流れがあります。

●「超整理法」
   ↓
●「捨てる技術」
   ↓
●「時間管理術」
   ↓
●「仕事管理術」

「恋愛本」でも、こんな流れがあります。

●「シンデレラ本」
   ↓
●「きっぱり本」
   ↓
●「モテ本」
   ↓
●「おひとりさま本」

「仕事術」の本も、「恋愛術」の本も、
深く掘り下げて考えていくと、メチャクチャおもしろいのですが、
今回は、スペースが尽きてしまいました。

いつか、どこかで、吉田の出版セミナーにて説明します。

出版愛 吉田浩