洋書を翻訳してベストセラーを創ろう!

2018年08月18日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■「洋書の森」に行きました

以前、「洋書の森」に行った時のことです。

「洋書の森」とは、日本出版クラブ会館の中にある
洋書コーナーのことです。

「洋書の森」には当時、日本で出版されていない海外の
書籍が約1500冊ありました。

この1500冊の埋もれている本の中から、
ベストセラーを発掘しようというわけです。

その日は、吉田と5人の翻訳者が、「洋書の森」を訪問しました。
中には、神戸から来てくれた翻訳者もいました。

「洋書の森」では、ひとり1カ月に2冊まで、本を借りることができます。

日本出版クラブ会館の喫茶室にて、
それぞれ翻訳者が借りてきた本を拝見しました。

これが、また、すばらしい!

吉田のほうで、勝手に、タイトルをつけました。
(タイトルは、原題とかなり近いと思います)
        ↓

●『マリブの億万長者が教えるお金持ちになる方法』
金持ち父さん本です。
これは、ぼぼ間違いなく出版できますね!
しかも、売れると思いますよ。

●『世界のダメ男』
くらたまの『ダメンズウォーカー』の世界バージョンです。
やっぱり、海外にも、ダメ男はいたんですね。(笑)
『ダメンズウォーカー インザワールド』というタイトルで、
くらたまにマンガを描いてもらったら、これは売れます!

●『頭脳革命』
500ページの分厚い本です。
日本語に翻訳したら、1000ページになります。
『脳内革命』を500万部売った春山先生に
監修してもらったら、かなり売れるのではないでしょうか?

●『ずるして痩せよう!』
ダイエット本です。
メタボ検診が義務化されている今の時代にぴったりなダイエット本です。

●『なぜ、イギリス人は付き合いづらいのか?』
新書にぴったり!
「イギリス人嫌い」という人は、案外、存在します。

●『もし、あなたの子どもが反抗期だったら?』
反抗期の子どもを持つ親と、反抗期の子どもが読者ターゲットです。

●『あなたは、あなたのままでいいんだよ』
癒し系、自己啓発系の女性向きの本です。
これに近いタイトルの本は、2冊ありました。

まだまだ、紹介したいのですが、ここまでにします。

■だれでも翻訳本が出せるという落とし穴

この「洋書の森」は、すばらしいシステムです。

入会は無料。
だれでも自由に出入りできて、好きな本を借りることができます。

ここにある本は、日本の翻訳エージェンシーが寄付した本なので、
まだ、日本では出版されていません。

ですから、ここにある本を自由に翻訳し、
出版社に売り込むことができるのです。

「洋書の森」は、
「だれでも翻訳本が出せる」夢のようなシステムなのです。

さて、ここまで読んで、翻訳に自信のある方は、
「私でも翻訳本を出せるかもしれない」
と思うかもしれません。

しかし、それは、大きな間違いです。

というのも、この「洋書の森」は、約10年前にスタートしたのですが、
今まで翻訳出版された本は、ほんの数冊しかないのです。

Q,なぜ、1500冊も蔵書があるのに、
 数冊しか出版されていないのでしょうか?

A,吉田の予想は、翻訳者が、
「本の魅力を最大限に引き出していない」からだと思います。

1,翻訳者は、まず自分が翻訳したい本を選んでしまう。
どの本が売れるか、という発想からスタートしたら、
もっと、たくさんの本が出版されているはずです。

2,洋書を翻訳しても、翻訳者は、その本をどの出版社に
売り込んだらよいのかわからない。
売り込みは出版プロデューサーに任せてください。

3,本を売るための企画を立てていない。
洋書は、そのまま出版しても日本では売れません。
日本で売れるための工夫が必要です。

吉田は、チームで「洋書の森」を訪れてよかったと
つくづく思いました。

「ひとりで来て、ひとりで本を選んで、ひとりで翻訳しても、
絶対に採用されないなあ」と思いました。

ひとりでは、その本の魅力を引き出せないからです。

「この本は、こうしたら売れるよ」
と、みんなで、わいわい言い合う
ブレストが必須なのです。

みんなで意見交換をしていると、
つまらない本でも、ぐんぐん魅力的になってくるから不思議です。

「洋書の森」は、もしかしたら宝の山かもしれません。

そして、この中からベストセラーを発掘するのは、
個人ではなく、「翻訳者たち」というチームだと
吉田は信じています。

出版愛 吉田浩