ベストセラーは飲み屋で作られる

2018年07月03日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■ときには、「直球」より「変化球」で勝負する

もう、何回にも渡って「書くテーマの見付け方」を
レクチャーしていますが、今回もまた、同じです。

ただし、今までのテーマの見付け方は、
ビジネスマン、自営業者、起業家用のいわば
「直球」でした。

今日は、「変化球」を教えます。

これは、主婦、OL、フリーターにぴったりです。
(ニートの皆さんも参考にしてください)

「直球」は「論理的思考法」ですが、
「変化球」は「感情的発想法」です。

出版セミナーで教えたあとはたいがい飲みにいきますが、
吉田は、居酒屋でゲームをします。

出版セミナーの受講生ひとりひとりに、
以下のことを聞いていきます。

Q,あなたが過去に、一番、腹が立ったことは何ですか?

Q,あなたが過去に、一番、恥ずかしい思いをしたのは何ですか?

Q,あなたが過去に、一番、感動したのは何ですか?

Q,あなたが過去に、一番、傷ついたことは何ですか?

Q,あなたが過去に、一番、許せないと思ったことは何ですか?

この自分自身の体験談の発表大会が
メチャクチャ盛り上がります。

上記の5つの質問は、
喜怒哀楽の極限体験を聞こうというわけです。

蛍光灯の光が降り注ぐ明るい世界では決して語れないことです。
お酒が入って初めて口も軽くなります。

居酒屋で、「ごくフツーの主婦」が
語ったひとつの体験によって、
周りの人たちは胸ぐらを掴まれたように、
ぐぐっと、興味を引き寄せられることがあります。

そして、ときには、質問の嵐が巻き起こり、
「ごくフツーの主婦」の顔が太陽のように輝いて見えるのです。

それは、なぜか?

実話だからです。
リアリティがあるからです。
そして、共感できるからです。

私たちの身の回りは、虚構や欺瞞に満ちています。
また、流行によって提供される体験談は、
バーチャルだったり、二番煎じだったりします。

ウソのない1次情報に接したとき、
人は心から感動するのです。

そして、その話は、そのまま本作りのテーマとなるのです。

■著者を大事に育てていた時代があった

この居酒屋ゲーム、非常に好評で、
バリエーションも増えました。

最近では、時代の波を知るために、
過去の話ではなく、今の話を聞くことにしています。

Q,あなたの現在の、マイブームは何ですか?

すると、受講生たちは、口々に、今、ハマッているものを
あげるのですが、これは、「なるほどね」と共感はできるが、
なかなか本にはできないことを発見しました。

「社交ダンスにはまっています」
「最近、ネコを飼いはじめました」
「ミシュラン店巡りをやっています」

これでは、本にはできませんね。

マイブームには、
・すぐ、飽きる
・長続きしない
・熱しやすく冷めやすい
という欠点があったようです。

昔、編集者と著者が一対一でお酒を飲んでいた時代がありました。
赤ちょうちんの下で、人生論議をしながら、
読者の求める本を1冊1冊丁寧に作っていました。

ほとんどのベストセラーは、飲み屋から生まれたのです。
吉田もそんな事例をたくさん見ています。

ところが、現在は、毎日の出版点数が200冊を超え、
出版社はノルマの達成と自転車操業に陥りました。

とても、飲み屋で著者の個性を引き出すなんてことはできません。

だからこそ、せめて吉田は自分が指導した方、
少しでも関わった方のよさを知ろうと、
日夜、居酒屋で著者を掘り起こす作業を続けているのです。

出版愛 吉田浩