柳の下にどじょうが2匹作戦
2016年12月16日
こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。
■出版業界は「2匹目のどじょう」で成立している
今回は、売れる本を作るために、
あえて「2匹目のどじょう」をすくいあげる方法を伝授します。
Q,「2匹目のどじょう」をすくいあげる方法をできる限りあげてください。
A,この「どじょう作戦」の骨子は、
元取次の社員からお聞きしました。
1,ベストセラー追随型。
『国家の品格』がミリオンセラーになると、
同じようなタイトル『○○の品格』が数十万部売れました。
2,ご時勢追随型。
大人の塗り絵シリーズ、えんぴつで書くシリーズなど
書籍には一種のブームがあります。
3,できごと活用型。
有名芸能人の結婚・離婚の前後にもたくさんの本が出ます。
昔の例だと、郷ひろみ『ダディ』(幻冬舎)
今の例だと、藤原紀香『紀香魂』(幻冬舎)
また、皇室で冠婚葬祭があると、それに併せてたくさんの本が出版されます。
4,コンスタント安定型。
これは、毎年発売される就職本が定番です。
中谷彰宏著の『面接の達人』(ダイヤモンド社)は、
すでに、2018年版が出版されています。
毎年、10万部売れる本があったら
出版社としては大変ありがたいですよね。
資格本、マニュアル本などもあります。
最近では、『京都検定』など、検定本が大流行です。
5,編集ノウハウ活用型。
図解シリーズ、ワンコイン本(500円本)など、
主にコンビニに並ぶような本のことです。
6,特定著者集中型。
売れっ子の作家がいると、日本中の出版社が
わっと、それこそピラニアのように食い付きます。
日野原重明先生、斎藤隆先生、斎藤茂太先生、
佐藤富雄先生、養老孟司先生など、ご苦労されたことと思います。
■「2匹目のどじょう」は機を逃さずにつかみ獲る
ほとんどの方が勘違いされていますが、
「2匹目のどじょう」は「二番煎じ」ではありません。
「どじょう作戦」を一言でいうと、
「市場原理とマーケットをよく理解し、
すでに拡大発展した一大市場に対して、
オリジナルな企画を提案していこう」ということです。
このメルマガの初期に、「ベン図方式」で
ベストセラーを作ろうというお話をしました。
話が長くなるので、簡単に説明しますが、
100万部売れた本をひとつの大きな円の集合体と考え、
その集合体がすっぽり入るような次の書籍を提案していく
のが「ベン図方式」です。
移りゆく読者の興味をきちんとマーティングして
いかなければならないので、単に人真似の「二番煎じ」とは違うのです。
「どじょう作戦」を成功させ、第2のベストセラーを出すためには、
必ずクリアーしなければならない2つの必須事項があります。
1,スピードで勝つ。
「今すぐ読者が読みたい本を、今すぐ作る」ため、
これは緊急出版となります。
1ヵ月で書店に並ばないと勝負になりません。
2週間で原稿作成、1週間で編集、1週間で印刷・配本という
恐ろしいスケジュールになります。
2,クオリティで勝つ。
出版されれば必ず売れることがわかっているので、
他の出版社との競争になります。
しかし、いくら早く出版したからいって、
内容的に第1冊目より劣っていたら、
読者はそっぽを向いてしまいます。
競争相手に勝つためには、徹底した差別化を推進しなくてはなりません。
それは、
・内容の密度だったり、
・エンターテインメント性だったり、
・社会性だったり、
・情報の量だったり、
・著者の強烈なキャラクターだったり
・推薦者、監修者などの応援団の陣容によります。
どうでしょうか?
マーケティングしたり、差別化を図ったり、いろいろ考えていくと、
「2匹目のどじょう」と「二番煎じ」は、明らかに違うと思いませんか?
出版愛 吉田浩