小説はメディアミックスで大ブレイクする
2016年06月27日
こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。
■メディアミックスというおばけ
前回、
「ベストセラーはかけ算で生まれる」
ことを書きましたが、実は、
おばけのように大きな基礎数字があります。
「メディアミックス」というかけ算です。
Q,「メディアミックス」って、なんでしょうか?
A,違うジャンルの媒体を
他のジャンルに転用するということです。
わかりづらいですよね?
世界一わかりやすくいうと、「映像化」ということです。
あなたの書いた本を映画化、テレビドラマ化しよう
ということです。
つまり、小説というジャンルを映画やテレビという
別ジャンルの媒体で売っていくわけです。
マンガ化、演劇化なども他のジャンルへの転用です。
登場人物をキャラクター化し、テレビCMを使って
売り出すという、信じられないような反則技もあります。
これも、ミックスメディアです。
ベストセラーを作り出すかけ算は、通常の基礎数字が
2とか、3なのですが、メディアミックスを使ったかけ算では、
本の売れ行きが、初版部数×10とか、×20になります。
倍々ではなく、いきなり数十倍売れる作品になってしまうのです。
■『おっぱい』が時代の先駆けとなった
実例を紹介しましょう。
『おっぱいバレー』(リンダパブリッシャーズ)
という本があります。
これは、実話から再構成されています。
静岡県にある田舎町の中学校に、あるとき、
巨乳の美人先生が臨時採用としてやってきます。
この巨乳先生は、「キモ部」とバカにされている
万年1回戦敗退のバレー部の顧問になるのですが、
「先生、優勝したらオッパイを見せて」と部員に
いわれて、「いいわよ」と承諾してしまいます。
それから、部員たちは、見違えるように練習をし、
どんどん強くなって、地区予選を勝ち抜いていく……
というマンガのようなお話です。
なんと、この小説に対して、30社以上の映画会社から
「映画にさせてください」というオファーがあったそうです。
『おっぱいバレー』は、すでに映画化が決定していることから、
それが話題になって、ベストセラーになってしまいました。
これから、映画が公開されたら、どれだれ本が売れるか
そら恐ろしいですね!
この本の版元、リンダパブリッシャーズの社長、
新保勝則さんは、元メディアファクトリーにいました。
吉田は、そのとき、何冊か一緒に本作りをさせて
いただきましたが、新保さんは当時から、
天才的なアイデアマンでした。
『おっぱいバレー』の話も、当時から聞いていました。
そして、映画の原作本のみ出版していく会社を作る話も。
その話を聞いたとき、私は、
「これは、絶対に成功する!」と確信しました。
そして、それは現実になりました。
新保さんは、ミックスメディアという発想を
最初からビジネスモデルに組み入れ、
偶然ではなく、必然として、
ベストセラーを量産していく仕組みを作りました。
はやり、大天才です。
この原稿を書いているとき、ちょうど、リクルートの
「R25」に、『おっぱいバレー』の書評が掲載されました。
小説から映画化された本も載っていたので、ここで紹介します。
●『しゃべれどもしゃべれども』
●『その時は彼によろしく』
●『君にしか聞こえない』
●『サイドカーに犬』
共通要素は、愛と感動とラブストーリーですね。
本屋大賞、文学新人賞の作品が映画化されています。
最近では、小説でなくても、実用書でも映像化が進んでいます。
これから、売れる本を書きたい方は、
ミックスメディアの手法を取り入れてください。
出版愛 吉田浩