世界一わかりやすいミリオンセラーの作り方
2016年03月14日
こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。
作家や編集者ならば、だれでも一生に一度は、
ミリオンセラーを出したいですよね!
まずは、いきなりクイズです。
カッコの中に適切な言葉を入れてください。
答えを見る前に、よ~く考えてくださいね。
Q 2003~2004年のミリオンセラーの特徴は(○○)と(純愛)でした。
そして、今は、(純愛)と(○○)です。
A (バカ)と(純愛) (純愛)と(号泣)
2003~2004年、いわゆる「バカ本」がバカみたいに売れました。
バカ本とは何でしょうか? 実例をあげて説明しますね。
まずは、『トリビアの泉』。
「社会でまるで役に立たないムダな知識を身につけよう」
を合い言葉にミリオンセラー街道を突っ走りました。
そして、『ぴあのベラベラブック』(ぴあ)、
『地図の読めない女、話を聞かない男』と続きます。
もちろん、『バカの壁』がこの時代のミリオンセラーを象徴しています。
こうして、キーワード「バカ」は一大ミリオンセラーブームを作りました。
このとき、「バカ本」と同じく「純愛本」が大ヒットしました。
『盲導犬クイール』『冬のソナタ』などです。
そして、純愛ブームは、『電車男』『四月の雪』と続きます。
「純愛本」は、「もっと泣きたい」という読者ニーズによって少し
ずつ形を変え、「号泣本」に変化しました。
代表格なのは、『世界の中心で愛を叫ぶ』でしょう。
映画『今、会いに行きます』『私の頭の中の消しゴム』
『1リットルの涙』なども大ヒットしました。
『私の頭の中の消しゴム』のキャッチコピーはすごい!
なにせ「鎖骨に涙がたまるくらい泣きました」ですから。
鎖骨に涙が溜まるんですよ、鎖骨に!
吉田個人は、『三丁目の夕日』を絶対的にお薦めします。
昭和初期の風景が丁寧に丁寧に作られていて、
(汽車の車窓の景色まで完璧)、10回くらい泣けるシーンがあります。
最後に、もうひとつ、クイズです。
Q 「純愛本」と「号泣本」の違いは、何でしょうか?
A それは、「壁」を乗り越えられるかどうかによって決まります。
「壁」とは、「愛の成就」です。
どちらの本も、通常ではとても乗り越えられそうもない高い高い
「壁」を設定しています。
『世界の中心で愛を叫ぶ』は、壁を乗り越えられなかった作品。
『電車男』は、壁を乗り越えられた作品。
この「壁」をいかに高く設定するか、
乗り越えられるか、乗り越えられないか、
その選択が、これからのミリオンセラーの別れ道になるかもしれませんね。
出版愛 吉田浩