本を書く目的は、実は、たったひとつしかない

2018年02月05日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■本を書く目的は「自己実現」ではない

IT企業を数百社束ねている会社の社長さんから
以下のような相談をいただきました。

Q,私は、IT系の会社を経営しているのですが、
 出版を会社のイメージアップにつなげたいと思います。
 そのために本を書きたいのですが、
 企画書を読んでもらえますか?

A,はい、出版は会社の「ブランド化」にとても有効です。
 さらにアドバイスするならば、御社にとっては、
 ブランド化よりも、「リクルーティング活動」の
 ために活用したほうがもっと有効です。

出版の目的は、個人的にはたくさんあります。
100人著者がいたら、100人違います。

「書くことが好き」
「有名になりたい」
「世の中から注目されたい」
「何か訴えたいことがある」
「この情報を知ってほしい」
「人々を楽しませたい」
「想像力を発揮したい」
「お金がほしい」などなど。

出版の目的を「自己実現」だと説いている
文章術の本や出版セミナーがたくさんありますが、
吉田に言わせると、それは違います。

本は、自己実現を果たす「手段」なのです。

自己実現で一番有名な話は、アメリカの心理学者、
アブラハム・マズロー(1908~1970年)の欲求5段階説でしょう。

5段階のピラミッドをイメージしてください。
底辺から順番に並べると、以下のようになります。

1,生理的欲求
2,安全欲求
3,社会的欲求
4,自我欲求
5,自己実現欲求

人間が生きていくためには、食欲や睡眠欲や排泄欲など
さまざまな欲求がありますが、最終的には、
だれかに認められたい、知的な創造活動をしたいという
「自己実現」の欲求にいきつきます。

Q,それでは、本を出版する本当の目的とはなんでしょうか?

A,それは、「あなたのファンを作る」ということです。

 ファンとは、「支持してくれる人」という意味です。
 そして、そのファンのあなたに対する熱烈な支持が
 強ければ強いほど、著者は自己実現へと近づくのです。

■すべての経済活動の目的もひとつ

実は、出版と企業活動は、ものすごくよく似ています。

目的は、たったひとつなのです。

それは、「自分のファン」を作るということです。

たとえば、このメルマガを読んでいるあなたのパソコンは、
ウィンドウズですか? マックですか?

あなたは、普段、どんなお茶を飲んでいますか?

何百種類も販売されているお茶の中で、吉田は、
伊藤園の「お~いお茶」を一番よく飲みます。

それは、私の娘が3才のときに、
「「お~いお茶」の「お~い」はいらないよ」
と言ったからです。なるほど。

たった一言の微笑ましい思い出から、吉田は、
このお茶のファンになってしまったのです。

このように、私たちは、すべての生活の中で
ある特定商品のファンになっています。

ひとりでも多くのファンを作り出した企業は成功し、
そうでない企業は倒産していきます。

これが、経済活動の原理原則です。

商品は、形ある製品だけではありません。
サービスや情報やノウハウもあります。
それを愛してくれる「ファン作り」をすることが、
すべての企業活動の基本なのです。

そして、まったく同じことが出版にもいえます。

出版は、その本が読者によって読まれることによって完了します。
ひとりでも多くの読者の手に渡ることによって、
出版社の経済活動も成り立っているのです。

そして、ベストセラー作家の定義とは、
「本によって自分のファンを10万人獲得した人」
のことなのです。

このファンの数が極端に多いと、著者の人生は変わります。
世界中が変わることさえもあります。

そして、著者は、本当の自己実現に向かって邁進していけるのです。

「自分のファン」を作るという活動は、
スポーツや芸能の世界でもまったく同じです。

ただ、書籍は、放送メディアと違って、
人類が存続する限り半永久的に残るというメリットがあります。

あなたがこの世に生きた証を、出版を通じて残す、
ということもできるんですね。

出版愛 吉田浩