ベン図方式なら必ずベストセラーが出る!

2016年05月02日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■中学生のときの算数を応用してベストセラーを創ろう

今週のテーマは、「狙ってベストセラーを出そう」というお話です。

Q,だれでも、簡単に、確実に
  ベストセラーを創る方法があります。
  どんな方法かわかりますか?

えっ、そんなことができるのかですって?

はい、できます。
だれでも、売れる本を作る「裏技」があるのです。

A,その方法を一言で説明すると、
「ベン図方式」です。

「ベン図」とは、円を使って集合の相互関係を表すことです。
昔は中学校で算数の時間に教えられていたのですが、
現在の教育カリキュラムには入っていません。

紙に大きな円を描き、
その上に重ねて、もうひとつ大きな円を描いてください。
これが「ベン図」です。

出版業界におけるベン図とは、
「すでにできあがっている読者層の上に、
同じ読書層を捕まえるために、
同じような円をかぶせる」ことです。

当社で制作協力したミリオンセラー
『動物キャラナビ』の具体例をあげましょう。

『動物占い』が流行った当時、まず小学館から
漫画家・玖保キリコの動物占いが出て、ミリオンセラーになりました。
しかし、このとき、動物占いブームはまだ序の口で、
動物のキャラクターがキャンディになったり、
ぬいぐるみになったり、
5兆円とも言われるキャラクター市場を席巻していったのです。

当社は、『動物占い』を創作した本家本元の
弦本将裕先生の本を制作協力することになりました。

小学館の本がミリオンセラーになったとき、
そこへ満を持しての『動物キャラナビ』の登場です。

すでに市場ができているベン図の上に、
「一番わかりやすい本」というベン図を重ねました。

この本はいきなり初版9万部からスタートし、
あれよあれよと言う間に、2週間で20万部を突破してしまいました。

■「ベン図」とは、実はマーケティングのことなのです

Q,このベン図方式に則って、コンスタントに
 ベストセラーを量産している出版社があります。
 どこの出版社かわかりますか?

A,幻冬舎です。
 単に、「ベストセラーが出てラッキー」ではなく、
「量産している」という点に注目してください。

たとえば、草思社の『声に出して読みたい日本語』が
正・続合わせて170万部売れたとき、
間髪入れず『常識として知っておきたい日本語』を出版しました。

幻冬舎の本は読者を唸らせるだけの
クオリティとエンターテインメントがあり、
密度の濃いものに仕上がっていたため、
いきなり60万部のメガヒットにつながりました。

また、『つい誰かに話したくなる雑学の本』が
講談社で200万部売れたときも、
すぐに『トイレで笑える雑学の本』が出ました。

こちらも50万部売れました。

このように、すでにできあがっている購買層をうまくつかまえると、
ベストセラーは 「いつでも、どこでも、だれにでも」
出せる可能性があるのです。

「ベン図」とは、実はマーケティングのことだったのです。
時代の波に、上手にベン図をかぶせて50~100万人の読者を得たわけです。

元々出版界は、このベン図のおかげで業界全体が活性化してきました。
ひとつの本がベストセラーになれば、
また同じような本がベストセラーになるのです。

書籍は単独で売るより、
3冊、4冊と類書を平積みにした方が相乗効果でより売れます。
読者は書店に足を運んだ際に、
ベン図の中にある本をどんどん購入するわけです。

ここで、ひとつ、注意があります。
ベン図方式を「柳の下のドジョウ」と安易に考えたら、
必ず失敗します。

マーケティングが必要なのです。

読者という「ベン図」も日々変化していますし、
かぶせるべき「ベン図」もうまく形を変えなければいけません。

いかに多くの読者層を取り入れるかは、投網に似ています。

どこにどう「網」を投げたらよいか、
冷静に時代を見据える感性が必要なのです。

時代の波を捉え、ベン図方式をうまく実行するなら、
小さな出版社でも新人ライターでも特大ホームランをかっ飛ばせます。

「ベン図」ぜひ一度、試してみませんか?

出版愛 吉田浩