読者を無視した「バカ親本」は作ってはいけない

2018年03月30日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■出版不可能の6パターン

Q,小さいときから、文章を書くのが大好きです。
 自分では、文章もうまいと思っています。
 現在、ブログで、結婚10年目の夫との愛情生活を
 描いているのですが、これは本になりますか?

A,はっきり言って、本になりません。
 あなたと夫とのラブラブ日記なんて、
 だれも読みたいとは思いません。

自分の書きたいものを書くことを「著者ニーズ」と言います。
読者が興味のあるものを書くことを「読者ニーズ」と言います。

これから本を書くあなたが目指すのは、
まず、「読者ニーズ」をつかむことでなければなりません。
「読者ニーズ」とは、「読者が読みたいと思う本」のことです。

出版エージェントの「企画のたまご屋さん」では、
出版社への売り込み不可のジャンルが6つあります。

1,日記。
2,ポエム。
3,エッセイ。
4,ペット。
5,旅行記。
6,官能小説。

これを、「出版不可能の6パターン」といいます。

Q,では、なぜ、この6つは出版できないのでしょうか?

A,自分の自慢話になっているからです。

■自分よがりの本の典型例「バカ親の法則」

あなたは
他人の飼い猫や飼い犬の自慢話を聞いて、
感動しますか?

あなたは
他人が海外旅行に行った自慢話を聞いて、
興奮しますか?

自慢話は本になりません。
これを吉田は、「バカ親の法則」と呼んでいます。

年賀状に毎年、子どもの写真をプリントして
送ってくる人はいませんか?

友人宅に遊びに行ったとき、延々と
子どものビデオを見せられたことはありませんか?

自分の子どもは目に入れても痛くないけれど、
他人の子どもはクソガキです。

著者と読者の意識が乖離してしまうことが「バカ親の法則」なのです。

バカ親になると、自分の主観でしかものごとが見えなくなってしまいます。
そんな本は出版されないし、出版されても売れません。

Q,それでは、「バカ親本」と「売れる本」の違いは何でしょうか?

A,それは、読者に「共感される」か「されない」かです。

日記もポエムもペットの自慢話も、
その内容に読者が共感してくれたら、
それはオリジナルの創造物となります。

具体例を挙げましょう。
たまご屋さんから出てベストセラーになった本で、
『天使のラストメッセージ』(ディスカヴァー21)という本があります。

これは、ポエムを日記形式で解説しているのですが、
看護婦だった彼女は、自分の担当する患者さんが亡くなるたびに
ノートに詩を書き綴っていました。

この詩には、
患者に対する深い愛情と無念の思いがこめられているのです。

詩はレクイエムとなり、読者にとっても胸をうつ作品となりました。

読者が「共感」し、「支持」してくれたのです。
「著者ニーズ」が「読者ニーズ」に逆転した瞬間です。

読者に共感されない本は、売れません。

たとえば、あなたの作品が定価1300円の
単行本で売られるとしましょう。

読者はその本に対して1300円よりも高い
価値があると思って購入するのです。

それだけの価値が1冊の本の中に込められていなければならないのです。

真剣に自問自答してください。
あなたがこれから書こうとする本の中に、
本当にその価値はありますか?

「企画のたまご屋さん」には、年間1000本の企画書が送られてきます。
しかし、そのうち、数100本は「著者ニーズ」の本なのです。

これから本を書く人は、「読者ニーズ」の本を目指してください。
そのチェックポイントはたった2つです。

1,バカ親本ではないか?
2,読者が共感してくれるか?

常に著者は、「だれがこの本を読んでくれるのか?」
を意識してください。

出版愛 吉田浩