1冊本を買った人に10冊本を買わせる方法

2017年02月13日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■なぜ中谷彰宏さんは500冊も出版できるのか?

「中谷彰宏さんは、なぜ500冊も本が書けるのですか?
彼のブランディングの手法を教えてください」
というメールが届きました。

ブランディングについて、3回も続くのは避けたかったのですが、
興味がある読者のために簡単に述べたいと思います。

ブランディングとは?
=ブランド化=あなたのファンを作ることです。

それでは、どのように実行したらよいのでしょうか?

ここで、中谷彰宏さんの例を紹介しましょう。

昔、中谷さんは、「コピーライター」でしたが、
現在は、「作家」と名乗っています。

過去に、吉田がミスユニバースの日本大会を取材したとき、
審査員の一員として中谷さんがいらっしゃいました。
そのときの肩書きが「作家」でした。

ちなみに、吉田は、1992年頃、
リクルート主催の「天才塾」に参加し、
数ヶ月ですが中谷さんに教えを乞いました。

思えば、あのころから中谷さんはカッコよかったなぁ……。

知的で、ハンサムで、タッパがあり、スタイルよく、
声が心地よく、ベストセラー作家で(『面接の達人』ダイヤモンド社)、
役者で、空手5段で、芸能人の恋人もたくさんいました。

ただ、非常に自意識過剰で、いかに自分が女性にモテるかを
飲み会の席で、延々と話していました。
(コレさえなければ、非の打ち所もない人格者なのですが……)

■囲い込みとはリピーターを作ること

中谷さんのブランディングは、書籍を見ればすぐにわかります。

Q,中谷本と他の本との違いは何でしょうか?

A,すべての著書に共通していることがあります。

1,表紙の帯は、金色。
 金色は高級感があります。また、お金と成功をイメージする色です。

2,表紙のデザインに統一感がある。
 表紙は、必ず、中谷事務所でチェックするそうです。

3,文章がキャッチコピー。
 だらだらと長い文章は書きません。
 1行1行は、広告のキャッチコピーのようです。

4,巻末に過去に出版した本の一覧表を添付。
 どの書籍も巻末に500冊ものタイトルと出版社名が掲載されます。
 そのために15ページくらい本文内容とは関係のない紙が
 使われるのですが、よく出版社はそれを許していると思います。

5,奥付に、必ず、著者からのメッセージがある。
 中谷さんの本の奥付には、こんなことが書いてあります。
「ぼくに手紙を送ってください。
 必ず、返事を書きます」 

 手紙を書くと、本当に返事が来ます。
 そこまで読者と向き合っている著者は、なかなか日本にはいません。
(でも、2回目の手紙を出しても返事が来ないのはなぜ?)

さて、ここで前回のメルマガの復習です。
中谷さんの「戦術」は、もう明らかですね?

すべてのブランディングの出口は、
「1冊でも本を買ってくれたファンを囲い込む」
ということに収斂されます。

「囲い込み」とは、「リピーター」を作ることです。
中谷さんの本を1冊でも買ってくれた人は、
5冊も10冊も続けて購入してしまうのです。

Q,それは、なぜでしょうか?

A,そうなるように、中谷さん自身が誘導しているからです。

現在、中谷さんは、リピーター確保のために、
さまざまな活動をしています。

セミナーをやる→講演会をやる→撮影する→DVDにする→販売する
テレビに出る→ラジオに出る→雑誌に連載する→まとめる→書籍化する。

この他にも、映画出演、舞台出演、
インターネットや携帯サイトに露出し、
さまざまなジャンルに挑戦し、どんどんファンを作っています。

1年間に20冊も30冊も出版しながら、
出版するたびに、必ず重版がかかるという
システムを作り出したのです。

これはすべて、戦略的に中谷さんが意識してやっていることです。

今世紀、未曾有の携帯端末ブームが到来しようとしています。
今まで、文学とは決して認められなかった中谷さんの文章が
ネット隆盛社会では、新たな価値を持ってきました。

これほど読みやすくて、簡潔な文章はどこにもないのです。
もし、この携帯端末時代の到来が偶然ではなく、
中谷さんが1992年からすべて読み切っていたとしたら、
彼は、一大文筆家として歴史に名を残すかもしれません。

これから著者になろうとする皆さんは、中谷さんの
ファンを囲い込む手腕をよく見習わなくてはなりませんね。

出版愛 吉田浩