こんな本がベストセラーだった

2016年07月19日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■ベストセラー今昔物語

今回は、現在と過去のベストセラーを比較検討してみます。
すると、あら不思議、ベストセラーの法則が明確に浮かび上がります。

Q,2006年のベストセラーはどんなものがありますか?
  ベスト10を答えてください。

A,
1,国家の品格・・・藤原正彦
2,ハリーポッターと謎のプリンス……J・K・ローリング
3,東京タワー……リリー・フランキー
4,えんぴつで奥の細道……大迫簡歩
5,病気にならない生き方……新谷弘実
6,おいでよどうぶつの森……ファミ通編集部
7,人は見た目が9割……竹内一郎
8,新・人間革命(15)(16)……池田大作
9,子育てハッピーパラダイス(1)(2)(3)……明橋大二
10,鏡の法則……野口嘉則
         (トーハン調べより)

「あれ? あの話題の本はどうなったの?」と言った人はいますか?

陰日向に咲く……劇団ひとり は13位。
生協の白石さん……白石昌則 は15位。
美しい国へ……安倍晋三 は17位なのです。

以前のメルマガで、吉田は、
「昔のベストセラーは富士山型」
「今のベストセラーは東京タワー型」と書きましたが、
現在は、50万部くらい売れてもベスト10には入らないのです。

Q,さて、それでは、1996年のベストセラーはどんなものがありますか?
  ベスト10を答えてください。ひとつでも分かれば大正解です。

A,
1,パソコン「超」仕事法……野口悠紀雄
2,ビル・ゲイツ 未来を語る……ビル・ゲイツ
3,超右脳革命……七田眞
4,生きがいの創造……飯田史彦
5,議論に絶対負けない法……ゲーリー・スペンス
6,早起きは自分を賢くする!……船井幸雄
7,あなたの電話をISDNに切り替えよう……ISNS研究会
8,百匹目の猿……船井幸雄
9,「大変」な時代……堺屋太一
10, 前例がない。だからやる!……樋口廣太郎

10年前にタイムスリップしたようで、超なつかしいですね。

■本の許容範囲が100倍に広がった

さて、ここからが本題です。
今と昔のベストセラーを、よーく見比べてください。

Q,2006年と1996年のベストセラーの違いは何でしょうか?
  決定的な違いが2つあります。

A,読者対象が格段に広がったこと。
  本の内容がバラエティになったことです。

(この他の答えを思いついた方は、
天才工場のメールアドレスまで意見を送ってください)

まずは、1996年のベストセラーを見てみましょう。特徴は、

1,読者対象が「男」である。
2,しかも、「ビジネスマン」が中心である
3,そのため10冊の本すべてが「ビジネス実用書」です。

次に、2006年のベストセラーを見てください。その特徴は、

1,読者対象が「老若男女さまざま」である。
2,主婦も、OLも、子どもも、おじいちゃんもおばあちゃんも「すべて」。
3,10冊の本のジャンルがほとんど「違う」のです。
 小説あり、ファンタジーあり、ゲーム本あり、宗教本あり、
 啓蒙書あり、育児書あり、健康書あり、精神論あり。

吉田は、今回、このベストセラー分析を行なっていて、
だんだん嬉しくなってきました。

書籍が、文学やノウハウ書という枠に捉われず、
どんどん進化しているような気がしました。

昔は、ビジネスマン中心だった本が、
ここまでたくさんの人たちに支持されていたことが嬉しいのです。
何だか、背中を押されたような気持ちです。

著者もバラエティに富んでいます。
これから作家を目指す皆さん、頑張って自分の作品を書いてください。

「どんな著者が、どんな本を書いたっていいんだよ。
 読者が支持してくれれば、その本は売れるんだよ」

出版愛 吉田浩