なぜ、日本人は行列が大好きなのか?

2016年05月30日

こんにちは、出版業界のジャイアン、吉田浩です。

■日本人の習性を知ればミリオンセラーも夢ではない

『日本人ジョーク』の本が71万部も売れています。
そこで、今回はジョークから入ります。

タイタニック号が沈没するとき、
「世界各国の人々をどうやって海に飛び込ませるか?」
という有名な問いかけがあります。

イタリア人に対しては、
「向こうで全裸の美女が手をふってますよ」
こう言うと、イタリア人は、みんな海に飛び込むそうです。

ドイツ人に対しては、
「早く飛び込んでください。これはルールです」

アメリカ人に対しては、
「今、飛び込むと、あなたが一番最初ですよ」

Q,さて、日本人に対しては、何と言ったらよいのでしょう?

A,「みなさん、もう飛び込んでいますよ」

が正解です。
アメリカ人の個性を重んじる民族性と、
日本人の集団を重んじる民族性がいかにも際立っているジョークですね。

さて、本日の本題です。

Q,なぜ、日本ではベストセラーが出るとそれがいきなり
  100万部も、200万部も売れてしまうのでしょうか?

A,日本人は行列が大好きだからです。

吉田は、この謎は、「日本人の民族性」にあると思っています。

日本人は「行列」が大好きなのです。

ラーメン屋さんに並んでいる、あの「行列」をイメージしてください。
「行列」とは、不特定多数の人と同じものを食べたいという願望です。

『HANAKO』に取材されただけで、その店は、
次の日から、押すな押すなの満席状態になります。
これまた海外では見受けられない現象です。

なぜ日本人が列に並ぶかというと、
「確固たる価値基準を持っていない」からです。

「あの店がうまい」という情報がマスコミに露出すると、
自分の味覚や嗜好に自信がないため、他人の意見や評判によって、
事実かどうかを疑うことなく、全員「右へならえ」の精神で
行列に加わってしまうのです。

そして、たとえまずいラーメンを食べたとしても、
今、話題の店で食べたことに価値を見い出して満足してしまうのです。

これとまったく同じことが、書籍の世界でも起こっています。
例えば、今年の「本屋大賞」を受賞した本
『一瞬の風になれ』佐藤多佳子(講談社)は、
あっという間に、220万部も売れてしまいました。

この本は、「本屋大賞」を受賞しなければ、
数万部しか売れなかったかもしれません。

ところが、たくさんの書店員が「この本はおもしろい!」
と勧めるので、そこに絶対的な権威づけがおこなわれ、
「プロが勧めてくれるならば間違いないだろう」
と思い込んでしまい、どんどん購入したのです。

書籍がフィクションやノンフィクション、あるいは文学作品の場合、
テレビ化、映画化、コミック化され、
売れ行きはさらに加速度が増していきます。

「本屋大賞」は、慎重な選考過程を経て大賞が決められているので、
確かに失敗しない本選びかもしれませんが、中には話題性だけで
100万部に達してしまう書籍もたくさんあります。

たとえば、戦後最大のベストセラーと言われる『脳内革命』は
ご存知ですよね? 『脳内革命』を読んで、
「あの本は面白かった、人生が変わった」
という人を、吉田はだれも見たことがありません。

「脳内革命」は、700万部も売れたのに、
一人もいないのです!

■ミリオンセラーは「富士山型」から「東京タワー型」になった

日本では、「話題になった本」が爆発的に売れる傾向にあります。

昔のベストセラーの売れ方は、「富士山型」でした。

山の裾野から、ふもとまで足を運び、
6合目、7合目、8合目と、一歩一歩、登山をするように、
じわじわとベストセラーが生まれました。

ところが、現代のベストセラーの売れ方は、
「東京タワー型」なのです。

いきなり1階からエレベータ乗って、
展望台まで昇ってしまうような売れ方をします。
タワーの先端部分が100万部、200万部という数字なのです。

そういえば、リリーフランキー著の『東京タワー』もそうですね。

海外の本で、このような例はほとんど見受けられません。

これから本を書いてベストセラーを狙い、
さらにミリオンセラーを狙いたい方は、
読者が行列を作るような仕掛けを作ってください。

仕掛けの方法は、3つあります。

1,話題性作り。

2,権威付け。

3,突飛なタイトル。

この3つさえ、クリアーすれば、ミリオンセラーも夢ではありません。

最後になりましたが、

Q,なぜ、日本人は行列をしたがるのか、
  根本的な理由がわかりますか?

A,吉田は、これは農耕民族特有の仲間意識が根底にあると思っています。

日本人は2000年間、農耕社会を継続してきました。
農耕社会は集団生活が基本です。
集団生活の第1のルールは、
「他人に迷惑をかけない」ということです。

そして、「和」を尊ぶ精神が2000年もの長い時間をかけて、
日本人気質として遺伝子に組み込まれるまで形成されたのです。

農耕社会は、突出した「個」の成長を妨げ、
周りの意見を聞いてから行動するような日本人気質を育ててしまったのです。

吉田は、それは悪いことではなく、むしろ、
日本人は、他者に対して一番思いやりがあり、
世界でもっとも優しい民族だと思っています。

今回は、その日本人の「行列気質」=「思いやり気質」を利用した
ミリオンセラーの作り方でした。
ぜひ、参考にし、実践してみてください。

出版愛 吉田浩